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ツリー・オブ・ライフ [映画感想−た]

映画は自分で観るまではなるべく人の感想や批評は読まないようにしているのですが、
それでもこの作品に関してはついついあらゆることが目に入ってしまい、
それがどうにも、ちょっとほかにはないような状況だったので、
いったいどんなものなのかと期待と不安でいっぱいでした。
なかなか観に行けなくて、このまま観ないで済ませちゃおうか、
いややはりそこは自分の目で確かめたい!と、ようやく終了間際に駆け込み鑑賞。


1950年代。テキサスの田舎町にオブライエン一家は暮らしていました。
厳格な父(ブラッド・ピット)と優しく美しい母(ジェシカ・チャステイン)、
そして三人の息子たち。
長男のジャック(ハンター・マクラケン)は11歳になり、
何かと口うるさく、時には暴力的にもなる父に反感を抱くようになり、
徐々に反抗的な態度を取るようになり・・・。


thetreeoflife_1.jpg


すでに観た人たちの感想の混乱ぶりやどちらかというとネガティブな反応、
ちょっと驚きの構成などを事前に知っていたので覚悟も出来ていて、
結果「ああ、なるほどね」という感じで、驚きつつも意外なことに楽しめた気がします。
まあ確かにそういう事前情報を一切入れずに観たらこれは相当な驚きと、
戸惑いやら不満でいっぱいになったかも知れません。
本当はそのほうが良かったのか悪かったのか、それも今となってはよくわかりませんが、
覚悟していたからこそ逆に楽しめたというのは「思ってたよりひどくない」という、
一番言ってはいけない感想になってしまいそうでもあるのですが、
とにかく、とりあえずイヤな気持ちにはならなかったことは事実だし、
そうなったことに自分でもまあ満足しています。

確かにいわゆる一般的な映画的手法や文法ということを考えると、
かなり特異な作りであると言えるかも知れません。
一応本筋は1950年代のオブライエン家のあれやこれやで、
淡々とした描かれ方ながらも一応物語として成立しています。
父親は若い頃に音楽家の夢を持っていましたが挫折、
そのため息子たちにはなんとしても成功して欲しいと願い、
その気持ちが息子たちに厳しい態度となり、その結果息子たちから疎まれてしまいます。
この父親が具体的に何の仕事をしているのかはよくわからないのですが、
この時代のこの年代の父親としては特別ではない、よくいるタイプに思えます。
そんな父親に反抗的な態度を取ってしまう長男ジャック。
そのジャックが成長した姿をショーン・ペンが演じていて、
彼は現在建築家か何かになっていておそらく成功しているように見えます。


thetreeoflife_2.jpg


時間軸は行きつ戻りつ、現代になったり50年代に戻ったりします。
一家の描写が断片的なのはおそらく現代のジャックが思い出しているということだと思うのですが、
では現代のジャックはなぜ今この頃のことを思い出し、しかも思い詰めているのか、
そのあたりがどうしてもいまひとつよくわかりませんでした。
ショーン・ペンの瞳はなぜか常に虚ろで、心情描写とはいえ岩だらけの場所に立ったりして、
自分がどこにいるのか、どこへ向かえばいいのかわからないという風。
演じているショーン・ペン自身もわかってないんじゃないかと思うような、
いつもの彼らしい力強さも見えません。

そうこうしていると突然"幻想シーン"パートが始まります。
モヤモヤとした光のきらめきから始まり、それは宇宙の始まりで、
やがて地球が生まれ生物が誕生し・・・と言ってもそうハッキリと説明されるわけではなく、
厳密に宇宙の成り立ちが描かれるわけでもないのですが、
ああそういうことなのかなあといろいろ想像しつつ観ていました
映画の冒頭でヨブ記が引用されることから、全編に宗教的なものが散りばめられているのか、
そのこと自体がテーマなのか、逆にそれに異議を申し立てたいのか、
宗教的なものにまったく疎い自分にとっては、
最初から敷居の高さを感じずにはいられなかったのですが、
この、途中から唐突に始まりかなり長い時間を割いて描かれる幻想映像パートで、
いったいこの映画はどこへ向かうのかといよいよ不安になりつつも、
けれど映像自体は環境ビデオのように美しく、ずっとぼんやり眺めていたいような心地よさでした。


thetreeoflife_3.jpg


しかしそこに恐竜が登場した時にはさすがに、
心の中でオイオイとツッコミそうになるのを抑えられませんでした。
これも噂には聞いていたのでああこれかあと思ったのですが、
恐竜の映像はよく出来ているとは言ってもやはり唐突なCGだし、
それまでのリアルで美しい映像にそんな恐竜を重ねられても違和感しか感じられず、
いっそそこから類人猿が登場し人間へと進化していき、
ついにはオブライエン家の先祖へと繋がり・・・となるのならまだわかる気もするのですが、
そんなこともなく、この幻想パートが終わるとまたスコンと50年代アメリカへ移動してしまいます。
このバランスの悪さは意図されたものなのか、本当はもうちょっと何かあって、
それらを見せてると4時間も5時間もかかってしまうということなのかと思ったり。
さらに、恐竜が出てくるってことはキリスト教的方面は否定しているということかなあとか、
頭の中がクエスチョンマークだらけになってしまいました。

そういうわけで、居心地が悪いと言ったらこれほど落ち着かない気持ちになる作品は、
最近ではちょっと珍しいかも知れず、観た人たちの混乱ぶりも納得でした。
けれど映像の美しさは文句なしだし、50年代パートはいかにもテレンス・マリック風で、
キラキラとした光り、母親の子どもたちへの愛情に満ちあふれた様子や、
父子の確執を描いていても悪意やとげとげしさのようなものはなく、
すべてがぼんやりと美しい思い出の写真のようで、
ハッキリとしたストーリーがあるわけではないのに、
何と言っていいかわからない不思議な説得力のようなものを感じました。


thetreeoflife_4.jpg


作品を魅力的にしていたのは、それぞれのキャストに因るところも大きかったと思います。
こういうお父さん役を演じることにだいぶ違和感がなくなったブラッド・ピット、
ただひたすら優しく美しい母親ジェシカ・チャスティン、
三人の息子たちのうち、反抗期に入った長男ジャックの心揺れ動く感じと、
いずれ亡くなることがわかっている次男R.L.の愛らしさや音楽的才能を見せる様、
無条件に兄を信頼する姿には素直に心打たれてしまいました。
残念だったのはショーン・ペンがいまひとつ彼らしさを出していない気がして、
例えば思いっきりルックスを変えてブラッド・ピット二役でも良かったかなとか、
まあいろんなことを考えたりもしたのですが。

なぜか三男の影が薄かったり、結局次男はなぜ死んだのかもよくわからないし、
やはりもういい大人になってる現代のジャックはどうしてこの頃のことを思い出し、
くよくよしているのかの説明はもうちょっとあっても良かったかなと思います。
そこは父と息子の問題、兄と弟の関係といった普遍的テーマだから、
ということで納得する、そういうことで片付けてしまっていいことなのか、
いくら普遍的だからと言って宇宙の始まりまで遡ることはないんじゃないかなあと思ったり。
あげく最後のほうで現代のジャックは昔の姿の家族に会うのですが、
それもよくわからなくて、一見、いわゆる天国でみんなに会えたみたいな映像なんですが、
ジャックも父親もまだ死んではいないんですよね?あ、これはさらに未来の映像?
・・・とまあ、自分の理解力の無さをただただ披露してしまうみたいで恥ずかしいんですが、
そういう細かいことは本当にどうでもいいのかも知れないし、
そして、そんなこんながわからなくても不思議と腹は立たず、
モヤモヤっとした気持ちではあっても、ああなんというのか、
こういうモヤモヤを描けるところが映画というものなのかなあと思ったりしました。
もう一度、今度はゆったりと美しい映像を楽しみたいなあと、
そういう軽い位置づけの作品として捉えていい・・・んですよね?


The Tree of Life(2011 アメリカ)
監督 テレンス・マリック
出演 ブラッド・ピット ショーン・ペン ジェシカ・チャスティン
   ハンター・マクラケン ララミー・エップラー タイ・シェリダン
   フィオナ・ショウ


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デビル [映画感想−た]

『レディ・イン・ザ・ウォーター』『ハプニング』で落胆してしまい、
『エアベンダー』はなんか違うかも・・・とスルーしてしまったけど、
やはりM・ナイト・シャマランと聞くと「ん!?」と反応してしまうわけです。
シャマラン原案の今作、ほとんどそれぐらいしか予備知識ナシで観てしまいましたがこれはっ!


ロザリオを握りしめた男が高層ビルから墜落死する事件が発生し、
フィラデルフィア市警殺人課のボーデン(クリス・メッシーナ)は、
現場の状況に不審なものを感じながらもそれを自殺と判断します。
ちょうどその頃、その同じビルのエレベーターの一基が突然停止し、
5人の男女が中に閉じ込められてしまいます。
警備員のラスティグ(マット・クレイヴン)とラミレス(ジェイコブ・バルガス)は、
モニター越しに中の様子を見守り救出の手だてを考えますが、
そんな彼らの見ている前で、突然エレベーター内の照明が消え、
復旧してみると、中の女性の背中が切り裂かれ血を流していました。
誰に襲われたのか、5人は疑いの目を互いに向け合い始めますが、
再び照明が消えると、今度は一人の男が無残な死を遂げ・・・。


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今作はM・ナイト・シャマランの原案を若手の映画作家が映画化していくプロジェクト、
「ザ・ナイト・クロニクルズ」の第一弾ということで、
(なんでもシャマランはもう監督業より製作にまわりたいとか言ってるらしい)
あくまでも今回は"原案"のみで脚本も書いていないと知り、実は驚いてしまいました。
というのも、これは紛れもなくシャマラン作品そのものと言っていいものになっていたからです。
エレベーターに閉じ込められた見ず知らずの男女5人・・・と聞くと、
最初はいわゆる密室劇のようなものを想像したのですが、
やがて、とてもそんな密室の中で起こりえないようなことが次々起こり、
この作品が普通のミステリーやサスペンスなんかではなくて、
ホラー、というかオカルトものだということがすぐにわかってきて、
この独特なニオイがなんともシャマランシャマランしているのです。

エレベーターの中をセキュリティカメラのモニター越しに見つめる警備員の一人、
中南米系で敬虔なクリスチャンのラミレスがあっさりと、
これが単なるエレベーター故障などではなく"悪魔"の仕業だと騒ぎ出します。
もちろんそんな彼の言葉に誰も取り合わず、それでも異常事態は次々と続き、
閉じ込められた5人だけじゃなく彼らを助けようと試みる人びとにまで危害が及びます。
なぜそんなことが?と最後まで理由は謎のまま話は進む・・・のですが、
このラミレスが最初から悪魔のせいだと言って、なぜこんなことになったのかを、
劇中でも、またナレーションでもいろいろと説明してくれます。
観ているこちらはそうなのか、いや、そんなこと言って実は何かしら論理的な答えがあるのでは?
などと頭の中を「?」マークでいっぱいにしながら見続けることになります。


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次第に5人にはそれぞれアヤシイ過去や後ろめたい事情があることがわかってきて、
だからこんなことになったのか、彼らはここに偶然か必然かで集められたのか、
でもだったらどうして?どうやって?と、謎は最後まで簡単に解き明かされず話は進みます。
そこに、最初の墜落死の件でやって来た刑事も加わり、そしてこの刑事にも暗い過去があり、
そんなあれもこれもが絡み合って最後にえええ!?という結論に達するわけですが、
そんな「えええ!?」という終わり方でありながら、
その時点では「なるほど〜」と、ちゃんと納得してしまうのです。
なぜかというと要所要所にラミレスのナレーションによる説明が差し込まれるので、
私のように頭の回転が鈍かったり神だ悪魔だなんてことに疎い人にも、
よくわかるようになっているのです!
おかげですべてが終わった瞬間は一応納得して劇場を後に出来るのですが、
さて、では家に帰ってからこのストーリーについて説明してみろと言われると、
「ええっと?」と、どうにもうまく説明出来ないのです。
そう、このうまく説明出来ない感じこそ、まさにシャマラン!
こういったまるっきりキツネにつままれたような感覚が、
『アンブレイカブル』や『サイン』を思い出させてくれて、
あーこの感じ、自分はこれがスキなんだなーとしみじみ思ったのでした。

今回、ストーリーや構成が実にシャマラン的でありながらうまくまとまっていたのは、
もしかしたらシャマラン自身が監督しなかったからなのでしょうか。
うまい具合に彼の世界観を他者が脚色、演出することで別の作用が働くのかも知れないな、
なんてことをぼんやり考えてしまいました。
こんな強引な話の見せ方や持って行き方が過剰だったり、逆にあっさりと"謎解き"されたりすると、
あの『レディ・イン・ザ・ウォーター』のガッカリになってしまうのかなと。
シャマランらしさというのは意外と微妙なバランスの上に成り立っているのかなと思いました。


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それと、今作ではあまり有名なスター俳優を使っていないのも良かったと思います。
エレベーターの中にサミュエル・L・ジャクソンがいたり刑事がブルース・ウィリスだったりしたら、
もうそれだけで話が読めてしまいそうだし、最後まで"犯人は誰?"と思わせるには、
これぐらい等しくよくわからない人たちだけなのが正解だと思いました。
一番怪しそうな人がそのまま怪しいのか、最後まで生き残る人が当然一番怪しい人なのか、
それが最後まで本当に読めなくて、そして事件は最後に意外な方向に進み、
さて、この終わり方でいいのか、ここまでを踏まえてこの結論でいいものかどうかと、
時間が経ってみるとあれこれ考えてしまうのですが、
見終わった瞬間はそりゃあこれは悪魔の仕業なのだし・・・と思ったり。

さらに、一番やりそうだったけどやらなくて良かったなあと思ったのは、
ラミレスの役をシャマラン本人が演じるという『レディ・イン・ザ・ウォーター』的展開。
これまで彼は必ず自分の作品のどこかしらに登場するというヒッチコックみたいな人でしたが、
今回は監督作じゃないからなのか登場はナシ。
でも、このラミレスというキャラクターはどうみてもシャマランだよなあと思いました。
そういったスター俳優の不在と80分というランタイムが、劇場用作品というより、
ちょっとした小品・・・そう、これって『トワイライトゾーン』の一編みたいな感じで、
オープニングとエンディングにシャマランが出てきて解説しても良かったかも!?(いやいやいや)
まあ、だからどうした?という話と言ってもいいし、
神だ悪魔だみたいな話が気にくわない人も多いかも知れない。
とっくにシャマランに嫌気が差している人にもつらいかも知れません。
でも私は断然支持!このシャマランプロジェクト、ちょっと次が楽しみになってしまいました!



Devil(2010 アメリカ)
監督 ジョン・エリック・ドゥードル
出演 クリス・メッシーナ ローガン・マーシャル=グリーン ジェニー・オハラ
   ボヤナ・ノヴァコヴィッチ ボキーム・ウッドバイン ジェフリー・エアンド
   ジェイコブ・バルガス マット・クレイヴン



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トゥルー・グリット [映画感想−た]

コーエン兄弟の新作はジョン・ウェイン主演『勇気ある追跡』('69年)のリメイク。
実は西部劇が苦手なので、このオリジナルも未見です。
コーエン兄弟と西部劇、ちょっと意外な組み合わせですが、
出演者も魅力的だし、頑張って観てきました。


父親を殺された14歳の少女マティ(ヘイリー・スタインフェルド)は、
その犯人であるトム・チェイニー(ジョシュ・ブローリン)に復讐するため、
連邦保安官コグバーン(ジェフ・ブリッジス)を雇い、チェイニーを探すことにします。
そこに同じくチェイニーを追うレンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり、
三人はチェイニーが逃げ込んだと言われる先住民居留地に入りますが・・・。


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私は西部劇(と戦争映画)が本当に苦手で、
実は今でもあまり積極的に観ようと思わないジャンルなのですが、
それでも"勉強のため"に観た『駅馬車』や『ワイルドバンチ』、
イーストウッド作品などは観たら観たで面白いと思うので、
なるべく観なくてはと思ってはいるのです。
ですが、砂埃舞う様子や女性がないがしろにされてる気がしたりなど、
やはり今もなかなか食指が動きません。
というわけで今作もかなり観るのにためらいがあったのですが、
結論から言うと、とてもとても面白く観ることが出来ました。

14歳の少女視点の物語というのがまず新鮮で面白かった。
最初の、マティと商人が繰り広げる交渉シーンは、
演じるヘイリー・スタインフェルドの巧さもあってとにかく見入ってしまいました。
コグバーンたちを追って馬のまま川に飛び込むシーンにはワクワクさせられたし、
かと思うとラビーフにお尻ペンペン(!)シーンのしつこさ、
コグバーンの宿敵ネッド・ペッパー(バリー・ペッパー)には、
地面に叩きつけられた上にブーツで顔を踏みつけられたりと、
男たちの、相手が少女であろうと容赦しない感じは、
マティをこの作品に於いてどう捉えればいいのか、
何も知らない子ども扱いなのか、大人になりかけの少女なのか、
そのあたりの微妙さも、何か不安定で不思議なものに感じられて、
そのずらし加減のようなものも面白かったです。


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高い木の上に吊された死体、熊の毛皮をかぶった歯医者など、
独特でシュールにも思える映像や暴力描写の容赦ない感じ、
ユーモラスさと冷たく苦い現実が冷静に平等に描かれているところなどは、
コーエン兄弟らしさを感じたし、西部劇知識の薄い私が言うのもなんですが、
やはりただの西部劇ではないのかなあと思いました。

中でも一番印象的だったのは、コグバーンがヘビに噛まれたマティを医者に診せるため、
マティの愛馬ブラッキーにマティと共に乗り疾走するシーン。
日が沈み、やがて降るような星空の下を走る彼らを延々カメラが追いますが、
この美しい夜のシーンが何かに似ているなと思い、
そうだ!『狩人の夜』でロバート・ミッチャムの手から逃れようと、
幼い兄妹がボートに乗って川を下るシーンだ!と思い当たりました。
帰宅してから調べてみるとそういう指摘をされている人がいてホッとしたのですが、
驚いたことに、今作でたびたび使われていた『Leaning On The Everlasting Arm』という曲が、
実は『狩人の夜』でロバート・ミッチャムとリリアン・ギッシュが、
劇中で歌う賛美歌だったと知りまたびっくり!
"悪"に追われる子ども、あるいは弱い存在と思われる老婆が決して"悪"に対して怯まないなど、
『狩人の夜』の登場人物たちがマティに重なって見え、今作とどこか通じるものがあるような気もして、
この意外な引用に驚きと、さらに喜びのようなものも感じてしまいました。


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飲んだくれでだらしないジェフ・ブリッジスはまったく意外性のないキャスティングですが、
それだけに、これを彼以外の人が演じるのも想像できないハマリぶり。
逆にヒゲと長いもみあげで一見彼とはわからないマット・デイモンは、
潔癖症だったり、どんなに痛めつけられてもめげない姿などユーモラス。
『ノーカントリー』とは逆に追われる悪人を演じたジョシュ・ブローリンも、
少ない出番ながら印象的な"小物ぶり"を見せるし、さらにもう一人、
これまた悪人でありながらほかのチンピラとは違う懐の深さのようなものをチラリと見せる、
バリー・ペッパーの化けっぷりもとても印象深かったです。
そして何より今作を魅力的にしているのは、マティを演じたヘイリー・スタインフェルド。
ほぼ役と同じ年齢で、どうしようもない大人たちを相手に一歩も怯まず、
マティというキャラクターを完璧に演じきっていました。
また一人、将来が楽しみな女優さんの登場でワクワクしています。


True Grit(2010 アメリカ)
監督 ジョエル・コーエン イーサン・コーエン
出演 ジェフ・ブリッジス ヘイリー・スタインフェルド マット・デイモン
   ジョシュ・ブローリン バリー・ペッパー



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食べて、祈って、恋をして [映画感想−た]

あまりにも前評判が悪くて劇場へ向かうのも躊躇してしまったのですが、
監督が個人的にハマッてる超傑作TVドラマ『Glee』のクリエイターで、
かつ、佳作『ハサミを持って突っ走る』(でもコレもいろいろ微妙だったけど)の、
ライアン・マーフィーというその一点を信じ、
それとジェームズ・フランコ観たいなあといういつものミーハー心でチャレンジしました。


NYでジャーナリストとして活躍するエリザベス(ジュリア・ロバーツ)は、
結婚8年目の夫スティーブン(ビリー・クラダップ)との離婚を決意して家を出ます。
やがて年下の俳優デイヴィッド(ジェームズ・フランコ)と出会い同棲を始めますが、
その関係も長続きせず、悩んだ末に彼女は自分を取り戻すために1年間の休暇を取り、
イタリア、インド、バリをめぐる1年間の旅に出ることを決意します。


修行します
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どんなに酷い出来なのかというとそれほど酷くもないかも、と一瞬思ってしまうのですが、
でも細かいことを言い出せばキリがないというか、最初から最後まで、
「そんなわけない!」「んなアホな」のオンパレードな話で、
それを美しい風景や素敵な男性陣やジュリアの高笑いで上手に見せているという、
言ってみれば"それだけ"な話になってしまっていて、
終わってみると「なんだこりゃ?」となってしまったのでした。
これが60年代頃のオードリー・ヘップバーンなんかがパリでお嬢様修行するような、
そんな夢物語のような話だというのなら、こういうのもありかも知れません。
でも時代は現代で、いろいろと現実的な問題に直面していそうな人たちが、
リアルに悩んだりしてる風な顔をして、それぞれ生きている様子をそれなりに見せているので、
冷静に考えればすべてがウソだし、そんな結論でいいの?といちいち気になることだらけで、
これをすんなり受け入れていいとは到底思えませんでした。

主人公のエリザベスがいったいどうしたいのか、これが最後まで理解できず。
とにかくいろいろ悩んで泣いたり祈ったりするんですが、
どう見てもその問題を作ってるのは自分自身じゃないの?と思ってしまいます。
まあそんな困ったちゃんだから自分でもどうしようもなくて旅に出るのでしょうけど。
まずは夫が自分のいいなりにならず大学に戻りたいと言っただけで離婚。
(もちろん理由はそれだけではないとは思いますが。)
年下の売れない俳優と恋に落ちてもちょっとうまく行かなくなると1人逃亡。
(これまたもちろん理由はいろいろあると思いますが。)
旅先で出会ったバツイチ男にプロポーズされたらやっぱり逃げる。
(まあいろいろあったからまた結婚なんてとは思うだろうけど・・・。)
これらの行動を恋愛に臆病な女だとか、それでも恋愛せずにはいられない弱い女だとかなんとか、
そういうことで片付けてもいいのかも知れないんですが、
なんだか「私ってこんなにモテちゃうけどなぜか不幸!」と延々主張してるみたいで、
まったく彼女に感情移入できないし、最後まで応援する気にもなれないのです。


でもやっぱり恋します
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ではこの作品は彼女の自分探しの"旅"そのものを描きたかったのでしょうか。
彼女の旅はイタリア〜インド〜バリ島と続くのですが、
これも予めお膳立てされた芸能人の旅番組のような感じです。
イタリアではボロアパートに住むとはいえ遊び放題食べ放題。
まあイタリアだしそれもアリかも知れません。
実際、登場するパスタやピッツァはものすごくおいしそうで、
見終わるとイタリアンレストランに直行したくなること請け合い!ですし。
イタリア男に引っかからないのは彼女の慎ましいところなのかも知れない・・・とか?
次のインドはデイヴィッドに教わったグルを訪ねるのですが、
ここが観光修行場(そんなものがあるのかどうか知りませんが)みたいなお気楽な感じで、
私はてっきりこのグルが何か商業主義な胡散臭いヤツで、
ここで痛い目に遭うみたいなことかと思ったら・・・当然それもナシ。
最後のバリでも瞑想したりするけれど、そこで出会うのはブラジル人?のハビエル・バルデム!

そう、彼女はなぜか旅先で他所から来た人ばかりに出会い、
その土地に溶け込もうとしてるように見えるけど、どこかよそよそしいというのか、
地元の人を理解しようという気もなさそうに見える。
もちろん1年間と決めた旅で、その土地に定住しようとしているわけではないので、
そういう態度でいることは間違いではないと思うのですが、
自分がよそ者、異邦人である立場を崩さないままでいるのが、
ここでうまくいかなければすぐ逃げ出せばいいんだよなという風に見えてしまうし、
それなのに彼女に関わる何人かの地元民、インドの少女やバリの医者の母子などの、
結構深いところに関わったりもするので、その人たちは彼女をどう思っているのか、
なんだか単に振りまわされるだけに見えてしまうのです。
結婚を嫌がっているインドの少女へのアドバイスとか、
極めつけのバリの医者母子へのプレゼントの"とんでもなさ"が、
どうにも気持ちの悪い、とても素直に善いことだと受け取れないのでした。


今回はイマイチだったよ
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原作は世界的にベストセラーとなったものだそうですが私は未読。
これに深く感銘を受けた女性がたくさんいるそうで、
そんな読者にとっては余計にこの出来栄えは残念なものに映ったんじゃないかと想像します。
監督のライアン・マーフィーはこの原作をどう受け止めたのか。
もしかしたらエリザベスという女性を否定的に受け取って、
彼女を徹底的にイヤな、どうしようもない女に描こうとしたのかもとも思ったのですが、
それほどの悪意は感じられません。
いっそのこと彼女をそんな風にとことんイヤな女に描いたとしたら、
「こんな性格の悪い女じゃ旅しようが祈ろうが恋しようがダメよねえ」で、
すべて納得できたような気がします。でもおそらくそういうことではないのでしょう。
原作者もそんな脚本は認めないだろうし。
では何がいけなかったのか・・・わかりません。
原作ものの失敗例としてあまりに話を詰め込みすぎたとか端折りすぎたとか、
まあそういうことなのかなと想像しますが、どうなんでしょう?
NYでのデイヴィッドとのパートとイタリアの無駄に食べまくりあたりをもうちょっと減らして、
インドとバリをもうちょっと丁寧に描いたら良かったんじゃないのかな。

ビリー・クラダップはこんな女にいつまでも拘ってるより早く忘れて幸せになって!と、
その"不幸な夫"ぶりに心から同情してしまいました。
ジェームズ・フランコはもうちょっと魅力的に描いてくれてもよいのでは?と思いましたが、
監督の趣味じゃないのかなあ。かなり残念。
インド篇に登場するリチャード・ジェンキンスにはものすごい熱演を見せられて、
思わず涙がボロッと落ちてしまい、直後"いやいや違うだろう!"という、
無駄な好演ぶりだったと思います。これまた残念。
ハビエル・バルデムは期待通りというか予想通りというか。

全体にどこか微妙な勘違いというのか、ロハスとかスピリチュアルとか、
これを元に女性誌で特集が組まれてもなんかイイ感じねとすんなり受け入れられそうで、
それで幸せになる人がいるならそれでもいいのかな、と思うけど、
どこかで誰かに多大な迷惑をかけてないか?と思うし、
そこに気が付いてしまうと、なんとかしたいんだけどどうにもならないもどかしさも感じ、
とりあえず日本でこれに影響を受けたドラマや旅番組が作られないことを祈るだけかな。
そんなの作られても個人的には全然どうでもいいことなんですけどね。


Eat Pray Love(2010 アメリカ)
監督 ライアン・マーフィー
出演 ジュリア・ロバーツ ビリー・クラダップ ヴィオラ・デイヴィス
   ジェームズ・フランコ リチャード・ジェンキンス ハビエル・バルデム



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特攻野郎Aチーム THE MOVIE [映画感想−た]

オリジナルTVシリーズはほとんど観たことがなくて、
あの「チャラチャチャ〜」というテーマソングぐらいしか知らない私が、
果たして映画化されたコレを楽しめるのだろうかと不安だったのですが、
一ヶ月以上劇場から遠ざかっていたり個人的にいろいろ落ち込むことが多く、
リハビリというか再起動にはとりあえず、あまりアタマ使わなくて良さそうなのがいいかも、
・・・とか思いつつ鑑賞。パトリック・ウィルソン目当てということもアリで。
というかメインはソレで。


イラク戦争末期、"ハンニバル"ことジョン・スミス大佐(リーアム・ニーソン)をリーダーとした、
特殊部隊"Aチーム"は、上官のモリソン将軍(ジェラルド・マクレイニー)の命令である作戦を決行、
一旦は成功したかに見えましたが、直後モリソンは爆死、作戦も失敗に終わります。
ハンニバルとAチームのメンバーである"フェイス"ことテンプルトン・ペック中尉(ブラッドレイ・クーパー)、
B.A.バラカス軍曹(クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン)、
そして"ハウリング・マッド"マードック大尉(シャールト・コプリー)の4人は10年の懲役を言い渡され、
それぞれ別々の刑務所へ投獄されますが見事脱獄し合流。自分たちを陥れた黒幕を追い始めますが・・・。


作戦中
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チーム結成の経緯とメンバーそれぞれのキャラクターをテンポ良くチャチャチャッと説明する、
いささか長めの冒頭シークエンス(え、ここでやっとタイトル出す?と思ってしまった)、
これでオリジナル全然知らないんだけど・・・という不安はかなりキレイに解消されます。
まあおそらくオリジナルを知ってるほうが何十倍も楽しめるんだろうなとも思いますが、
ここまで親切設計だととても心強く、すんなりとストーリーに入って行けました。
逆にオリジナルを知らない分、余計な予備知識やキャストをヘンに比較したりもしないので、
純粋にアクションムービーとして楽しめたかも知れません。

とは言っても、これも元々こういうモノなのかも知れませんが、
次々と決行される作戦があまりにもトントン拍子に進んでいくというか、
私なんかは観ていてこれは作戦通りなのかアクシデントなのかがわからなくなって、
途中から「どうせうまく行くんでしょ!」という気になってしまい、
結果的にドキドキハラハラ感をあまり感じられなくなってしまいました。
まあそれでも細かい取っ組み合いから銃撃戦、大爆破まで、
映像としては見どころ満点、そのほとんどが「ありえな〜い!」の連続なんですが、
それはそれで映画として面白ければいいよね、と思える、
そのあたりはどれもこれも及第点の面白さだったと思います。


わけあり
a-team_2.jpg


でもやっぱり、これだけいろいろあって全然ドキハラしないというのはやはりどうなのか。
シリアスな雰囲気の部分も結構あって、それも悪くはないんですが、
むしろ最初から最後まで徹底してありえないバカをやり通しつつ、
要所要所でカッコイイ、キマッタ!みたいなんだと良かったかなあと思いました。
(キマッタ!と言えば、最初のハンニバルの登場シーンがエラくカッコイイ!
本人アレ観て「俺キマってるなー」って思っただろうなあとか思ってしまった)
パラシュート付けて戦車が飛ぶ、というか落ちていくのとか、
しかも高度何千メートルの空中でその戦車から顔出して敵を撃ちまくるフェイスとか、
すっごいバカバカしくて面白かった。こういうのがもうちょっと欲しかったです。
4人がもう本当にある意味それぞれにイッちゃってる人たちだし、
そのキャラは十分描かれていて、4人ともすごくうまいなあと思ったんですが、
バカとシリアスが時々どっちつかずなところが多い気がして、
もうちょっとどっちかに傾いて欲しかったです。

実際に作戦が決行されている合間合間にその作戦を立てているシーンが挟まり、
何をどうしようとしているのかの良い解説になっているのなんかはとても面白い演出。
その辺のテンポの良さを良い点として挙げても良いとは思うのですが、
終わってみるとあまりにも何も残っていない!
まあ「あー面白かった!」で終わっていいような映画だとは思うんですが、
それなら何度も繰り返しますが、もう少し娯楽&バカに徹して欲しかったです。


ワキ役ですけど
a-team_3.jpg


メンバー4人のキャラクターは(おそらく)文句ナシ。
このメンバーならずっと観ていたいと思わせる魅力に溢れていたと思いました。
ラブストーリー的要素はなくもないですが、話も絵ヅラも延々男臭くて、
おそらく放っておけばお客さんの9割ぐらいは男なんじゃないか、と思えるのですが、
でもちゃんと(?)ブラッドレイ・クーパーのサービスカットとしか言えない、
脱ぎのシーン大量投入で女性客のハートもしっかり掴んだこと・・・かと。
でも、あまりに彼のハダカシーンが多くて遠慮したのか、
パトリック・ウィルソンが今回まったく脱がないのにビックリ!
まあ彼が毎回必ず脱ぐとは限りませんし、別にいいんですけどね・・・。
彼の悪役?ぷりはなかなかヨカッタですが、もうちょっとスコーンとキレてくれても良かったかな。
ラストに思わぬマッドメンなカメオ出演(すみませんネタバレかな)、
そしてエンドロール後にこの手の作品ではお約束のお楽しみもアリ。
シリーズ化されたらおそらく観ると思います。なんだかんだ言ってキライじゃないんで。


The A-Team(2010 アメリカ)
監督 ジョー・カーナハン
出演 リーアム・ニーソン ブラッドレイ・クーパー ジェシカ・ビール
   クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン シャールト・コプリー
   パトリック・ウィルソン ジェラルド・マクレイニー



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