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メタルヘッド [映画感想−ま]

ジョセフ・ゴードン=レヴィットのロン毛&へなちょこタトゥー!
スチルのインパクトでそりゃあもう期待でいっぱいでした。
スペンサー・サッサー初監督作。


自動車事故で母親を失った13歳の少年TJ(デヴィン・ブロシュー)と、
その父親で妻の死から立ち直れず落ち込んだ日々を送るポール(レイン・ウィルソン)。
二人の前に、謎の男ヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が突然現れます。
この男は祖母(パイパー・ローリー)と三人暮らしだったTJの家に転がり込み、
あらゆる非常識な振る舞いを見せ、TJたちを困惑させます。
そんなある日、TJはスーパーのレジ係ニコール(ナタリー・ポートマン)と出会い・・・。


hesher_1.jpg


傷ついた父と息子の前に突如現れたメタル野郎ヘッシャー。
最初にヘッシャーがジャジャン!と登場するところや、
とりあえず破壊、放火、爆破というやりたい放題の乱暴ぶり、
TJがいじめに遭って、ここは助けてやってよという場面であっさりと裏切ってみたりとか、
前半のヘッシャーのまったく行動の読めないところはJGLびいきも手伝って面白いんですが、
これがあまり長続きしないで徐々にもたつき始め、
あちこちで面白くなりそうなのにあら?っとなり、
全体に、どこかツメの甘さのようなものを感じてしまいました。

結局ヘッシャーとはいったい何者なのか?キリストのような風貌にも見えて、
単純に救世主的な印象を与えもするのですが、最後までその正体はナゾのまま。
そのことをハッキリさせる気はそもそも無いのかもしれませんが、
これが逆に全体を曖昧にしているような気がしてならず、
いっそのこと救世主でも天使でも妖精でも心の中にいる誰かでもなんでもいいから、
つまりは何かの象徴としての存在であると匂わせるぐらいにでもしてくれたほうが、
話としてはスッキリするような気がしました。
私はヘッシャーがそういう”何か”であって欲しいという願望と期待とともに、
(それは物語の展開上のヒネリとしての期待という意味も含めて)観ていたので、
彼が終盤でニコールと"そういうこと"になってしまうところで心底ガッカリしてしまったのでした。
それはつまり、なんだ、普通にヤッちゃう奴なんじゃん!という、
ヘッシャーが特別な、聖人でもなんでもないということがハッキリした瞬間だったからです。


hesher_2.jpg


それから、このニコールという人の位置づけもちょっと曖昧な気がして、
何よりナタリー・ポートマンなんかが演じているものだから、
どうしても何かもっと重要な役なんじゃないかと考えてしまうのかも知れないのですが、
実際はTJがほんのちょっと想いを寄せる年上の女性ぐらいの役割でしかなく、
もし、彼女の存在に意味があるのなら、意味を持たせたかったのであれば単純に描き足りないし、
そうでないのなら、ナタリー・ポートマンではない役者に演じて欲しかったです。
そうでなければこのニコールの存在をもうちょっと深く、
父子と同列ぐらい丁寧に描いてくれても良かったと思います。
ニコールの悩みや痛みもそれなりに描かれてはいましたが、
ヘッシャーとの関わり合いはTJより少ないし、何より常にTJを挟んでの関係だったので、
だからヘッシャーとそうなってしまうのがあまりに唐突に思えてしまったのだと思います。
もちろんそうすることでTJに打撃を与えるわけだし、
ニコールにとってはそうなることが助けになったのだと解釈することも出来ますが。
まあ逆に考えれば、それほどの位置の役ではないからそうなってしまったとも言えるのかも知れない。
言動や服装など、十分にホワイトトラッシュな風味を出していて、
そこが素のナタリー・ポートマンとのギャップから来る面白味さもあるのですが、
それはキタナイJGLと同様、一見面白いんだけど成功しているかというと・・・という、
やはり、惜しいなあという結論になってしまいます。

それともう一点どうしても気になったのは、TJが父親が手放した車に固執するところ。
母親が死んだきっかけとなったことはわかるし、終盤で丁寧にそのシーンが描かれるわけですが、
母親を思い手放したくないものというのであれば、例えば服とかアクセサリーとか食器とか椅子とか、
もっと身近で母親の匂いが染みついたようなもののほうが自然な気がします。
親子三人の最後の楽しかった思い出というのはわかりますが、
母親がとても愛した車であるとか、事故の原因に何かあるのかとも思ったのですが、
特にそういうことでもないようで、私だったら逆にこの車は母親を奪ったものという、
むしろ憎い存在に思えるんじゃないかなと思うのですが。
ただこの車に関してはあらゆる話につながっていくものなので、
結局、車という仕掛けが欲しかっただけなのかなと思いました。


hesher_3.jpg


そういうわけで、ものすごく面白くなりそうなものをいっぱい持っていそうで、
そのどれもこれもが消化不良で終わった感じでした。
ヘッシャーという男は、見た目は十分にインパクトがありますが、
結局は特別な何かでもなんでもなく、単なるチンピラ浮浪者の域を出ていなくて、
けれど、そんななんでもない男であってもどん底にいた父と息子の前に現れたことで、
結果的にそのどん底な状況から救い出すきっかけになった。
そういう風に人は何かちょっとしたことで救われるもの、ということを言いたかったのかも知れません。
ただ、そういう言ってみればありふれた着地点になってしまったことには、
やはり何かしら物足りなさを感じてしまうし、オチとしてそこに行ってもいいから、
そこまでの道筋でもうちょっとこちらを驚かす仕掛けが欲しかったです。
見た目がアレな人がお年寄りには優しい、というのもまあありがちな描き方だし、
それもかまわないのですが・・・何よりヘッシャーとおばあちゃんのやりとりは、
涙が出そうなくらい楽しかったのですが、そのことが引き起こす結末と、
そこで見せるヘッシャーの素の顔にはちょっと残念な意外性でしかなくて、
えらく真っ当な話(と言ってもほぼ下ネタなのは笑えますが)で締めてくれるのは、
再生物語としては予想の範囲内で残念でした。

それでもTJを演じたデヴィン・ブロシュー君は素晴らしかった。
どうにもならない現実の重みを抱えた暗い表情は最初から最後まで物語を引っ張っていました。
ただただ落ち込んでいるお父さん役レイン・ウィルソンは、
もうひとつ見せ場が欲しいところでしたが、こういう役なんで仕方ないですね。
それとおばあちゃん!エンドロールで「パイパー・ローリー」という名前を観た時は、
思わず声を上げそうになりました。まったく気が付かなかった!
このことが一番この作品で驚かされたところだったかも知れません。


Hesher(2010 アメリカ)
監督 スペンサー・サッサー
出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット レイン・ウィルソン デヴィン・ブロシュー
   ナタリー・ポートマン パイパー・ローリー ジョン・キャロル・リンチ



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