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ブルーバレンタイン [映画感想−は]

ポスターや予告編からはオシャレなラブストーリーのイメージを受けたんですが、
実際は全然違って、ものすごく現実的でシビアで残酷な作品。
これは観る人によって感じるところは相当違うのではないかと。


シンディ(ミシェル・ウィリアムズ)とディーン(ライアン・ゴズリング)の夫婦は、
娘のフランキー(フェイス・ウラディカ)と三人暮らし。
病院で看護師として忙しい日々を送るシンディと違い、
ディーンの仕事は朝からビールを飲みながらでも出来るペンキ塗り。
シンディはそんなディーンにもっときちんとした、やりがいのある仕事に就いて欲しいと思い、
そのため二人はことあるごとに言い争い、喧嘩になってしまうのでした。
ある朝、飼い犬の行方がわからなくなり、シンディはその犬が路上で死んでいるのを発見します。
深い悲しみに沈むシンディを慰めようと、ディーンは町外れにあるラブホテルへ行くことを提案。
気乗りしないシンディをなんとかなだめ、二人はホテルへと出発しますが・・・。


bluevalentine_1.jpg


物語は結婚して数年後の現在と、二人が出会って結婚へ至るまでの過去が交互に描かれ、
現在の冷め切ってしまった(少なくともシンディは)夫婦間の、
なにをやってもうまく行かない様子がとにかくどれもこれもイヤになるほどリアルで痛々しく描かれ、
観ていると本当につらいというかやるせない気持ちになってしまいます。
長年付き合ってるカップルだったら多かれ少なかれ経験しているような、
ああワカルワカルという話満載で、こんな話を見せられてもなあと、少々ウンザリ。
これは私が女でどうしてもシンディの側に立って観てしまうのかも知れませんが、
こんなディーンのような夫や彼氏だったらそりゃあこうなるよなあと思うことばかりだし、
ディーンのあまりの鈍感さを弁護できる人がいるなら出てきて欲しいぐらい。
これぐらい許してやれよと言うのなら、心の狭い女のままでいいなとすら思ってしまいます。
とにかくそれぐらいディーンには救いがなくて、彼を観て「ああ俺みたいだ」と思った男性は、
すぐにでも考えを改めること!と強く言いたくなります。

『(500)日のサマー』は恋に憧れる男トムと愛を信じない女サマー、という図式で、
主に(というか全編)トム側の主観だけで描かれ、その一方的な感じが今作で言うと、
ほとんどの問題はディーンが原因で、観ている側はどうしたってシンディに同情してしまうところが、
どことなく通じるような気がしました。かなり状況は違いますが。
しかしあちらはサマーを"得体の知れない存在"とすることで、
本当はトムのほうがどうしようもないヤツかも知れないとか、
やっぱりサマーはとんでもないビッチだったのだとか議論の余地もあり、
恋愛の美しさ残酷さを見た目も美しく愛らしく描くことで、
上質なラブコメディとして楽しめる作品になっていたと思うのですが、
今作を観るとそんなのはやっぱり夢物語なんだよとバッサリ言い渡されるような、
最初から最後まで、とにかく暗い暗い話になっています。
出会った頃はこんなヤツとは思わなかっただろうけど、
こんなディーンをシンディは選んでしまったのはどうしようもないことで、
そもそもシンディがあんなことにさえなってなければ・・・とか、
まあそんな風に、恋愛なんて始まりは美しくともキレイゴトのまま終わるわけはないという、
誰もが知っているのに気付かないふりをしているようなあれやこれやをドスンと提示して、
いったいこれを見せられた私はどうすればいいの?と、重い気持ちで劇場を後にしたのでした。


bluevalentine_2.jpg


監督のデレク・シアンフランスが脚本を書き始めたのが1998年で、
映画の完成までに実に11年もかかり、その間60回以上も書き直しをして、
あまりにも書き直し過ぎたためウンザリしてしまった彼は、
撮影時には主役二人にプロットだけ告げてほとんどアドリブで演じさせたのだそうです。
そんなストーリー以上にハードなエピソードを聞くと、
二人はよくそんなことをやりきったものだと感心してしまうし、
だからこその生々しさ、リアリティなのかも知れないと思いました。
シアンフランス監督はびっくりするぐらいライアン・ゴズリングにそっくりで、
特に頭部は”現在のディーン"そのまま!なのは笑っていいのやらなのですが、
ということで、おそらくディーンは監督自身を相当投影しているのではないかと思うし、
だからこそ徹底して救いがない人物に描かれていたのかも知れません。

冷え切ってしまった現実とはまったく違い、出会った頃の二人はとにかく美しくハッピーで、
いろんな困難な出来事も二人の愛を強め、深めていくきっかけにしかなりません。
特に二人の心がぐんと近づいたと思われる、ディーンが歌いシンディが踊るシーン。
ディーンの歌はいいとして、シンディの恐ろしくヘタクソなダンスはけれども素朴で愛らしく、
こんなに美しく微笑ましいシーンは最近ちょっと無い、忘れがたい場面となっていました。
それに産婦人科のシーンのリアルさ(本物の医者を使っているのだそう)、
そこからのディーンの決意への流れには涙が止まりませんでした。


bluevalentine_3.jpg


そんな幸せな風景がヘビーな現実と交互に描かれるため、観ているこちら側は、
二人がいずれダメになってしまうことがわかってしまっているし、
だからこそその幸福な様子はあまりにも美しく痛々しく、現実との対比が残酷に感じられます。
いずれ不幸になるんだからその選択は間違いよ、と言ってあげることや、
現在の二人に幸せだったあの頃を思い出して!なんて言うことも出来ず、
こういうことは結局夫婦間で解決していくしかないものだし、
観ている我々もいつこんなことになるか、もうなりかかっているのかも知れないとか、
そこをどう乗り切るかをこの作品を観てそれぞれよく考えましょうということなのかもと思ったり。
まだこんな経験をしていない若い人たち、今がキラキラな状態の人たちには、
こんな未来にならないようにという忠告となるのかも知れません。
何にしても観る側に何かしら重たいものを押しつけて帰してくれる作品なので、
観たほうがいいよ、とも言えず、何というか自己責任で!としか言えない作品でした。

主役二人は、あらゆるシーンがアドリブだったと聞くと一層その凄さを感じてしまいますが、
とにかく素晴らしいの一言。
特にミシェル・ウィリアムズの体当たりぶりと、元々持っているあの暗く、
確実に重たいものを背負っているような表情がシンディをよりリアルな人物にしていました。
ライアン・ゴズリングはその時間の経過ぶりを頭髪で表していましたが、
ミシェル・ウィリアムズは見た目はほとんど変わっていないようで(増量はしたそうですが)、
生活に疲れきっている感じをどこをどうと言えないぐらいうまく醸し出していて驚かされます。
暗く生々しい内容で、それが悪いとは一概に言えないのですが、実も蓋もないというのか、
結局なるようにしかならない結末にまあそうだろうねという感想しか持てず。
それなのに、これはどうなのかな?と思ったのはエンドロールが始まる前、
二人のこれまでのあらゆるシーンが花火と共にフラッシュバックのように見せられるのですが、
ここが妙にオシャレでカッコ良すぎるファッションフォト風で、
この作品ってそんなカッコイイ話でも全体の作りでもなかったのに何を急に?と思ってしまって、
普通に暗転でジ・エンドにして欲しかったなあと、最後の最後はちょっと苦笑してしまいました。


Blue Valentine(2010 アメリカ)
監督 デレク・シアンフランス
出演 ミシェル・ウィリアムズ ライアン・ゴズリング
   フェイス・ウラディカ マイク・ヴォーゲル ベン・シェンクマン



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