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トゥルー・グリット [映画感想−た]

コーエン兄弟の新作はジョン・ウェイン主演『勇気ある追跡』('69年)のリメイク。
実は西部劇が苦手なので、このオリジナルも未見です。
コーエン兄弟と西部劇、ちょっと意外な組み合わせですが、
出演者も魅力的だし、頑張って観てきました。


父親を殺された14歳の少女マティ(ヘイリー・スタインフェルド)は、
その犯人であるトム・チェイニー(ジョシュ・ブローリン)に復讐するため、
連邦保安官コグバーン(ジェフ・ブリッジス)を雇い、チェイニーを探すことにします。
そこに同じくチェイニーを追うレンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり、
三人はチェイニーが逃げ込んだと言われる先住民居留地に入りますが・・・。


truegrit_1.jpg


私は西部劇(と戦争映画)が本当に苦手で、
実は今でもあまり積極的に観ようと思わないジャンルなのですが、
それでも"勉強のため"に観た『駅馬車』や『ワイルドバンチ』、
イーストウッド作品などは観たら観たで面白いと思うので、
なるべく観なくてはと思ってはいるのです。
ですが、砂埃舞う様子や女性がないがしろにされてる気がしたりなど、
やはり今もなかなか食指が動きません。
というわけで今作もかなり観るのにためらいがあったのですが、
結論から言うと、とてもとても面白く観ることが出来ました。

14歳の少女視点の物語というのがまず新鮮で面白かった。
最初の、マティと商人が繰り広げる交渉シーンは、
演じるヘイリー・スタインフェルドの巧さもあってとにかく見入ってしまいました。
コグバーンたちを追って馬のまま川に飛び込むシーンにはワクワクさせられたし、
かと思うとラビーフにお尻ペンペン(!)シーンのしつこさ、
コグバーンの宿敵ネッド・ペッパー(バリー・ペッパー)には、
地面に叩きつけられた上にブーツで顔を踏みつけられたりと、
男たちの、相手が少女であろうと容赦しない感じは、
マティをこの作品に於いてどう捉えればいいのか、
何も知らない子ども扱いなのか、大人になりかけの少女なのか、
そのあたりの微妙さも、何か不安定で不思議なものに感じられて、
そのずらし加減のようなものも面白かったです。


truegrit_2.jpg


高い木の上に吊された死体、熊の毛皮をかぶった歯医者など、
独特でシュールにも思える映像や暴力描写の容赦ない感じ、
ユーモラスさと冷たく苦い現実が冷静に平等に描かれているところなどは、
コーエン兄弟らしさを感じたし、西部劇知識の薄い私が言うのもなんですが、
やはりただの西部劇ではないのかなあと思いました。

中でも一番印象的だったのは、コグバーンがヘビに噛まれたマティを医者に診せるため、
マティの愛馬ブラッキーにマティと共に乗り疾走するシーン。
日が沈み、やがて降るような星空の下を走る彼らを延々カメラが追いますが、
この美しい夜のシーンが何かに似ているなと思い、
そうだ!『狩人の夜』でロバート・ミッチャムの手から逃れようと、
幼い兄妹がボートに乗って川を下るシーンだ!と思い当たりました。
帰宅してから調べてみるとそういう指摘をされている人がいてホッとしたのですが、
驚いたことに、今作でたびたび使われていた『Leaning On The Everlasting Arm』という曲が、
実は『狩人の夜』でロバート・ミッチャムとリリアン・ギッシュが、
劇中で歌う賛美歌だったと知りまたびっくり!
"悪"に追われる子ども、あるいは弱い存在と思われる老婆が決して"悪"に対して怯まないなど、
『狩人の夜』の登場人物たちがマティに重なって見え、今作とどこか通じるものがあるような気もして、
この意外な引用に驚きと、さらに喜びのようなものも感じてしまいました。


truegrit_3.jpg


飲んだくれでだらしないジェフ・ブリッジスはまったく意外性のないキャスティングですが、
それだけに、これを彼以外の人が演じるのも想像できないハマリぶり。
逆にヒゲと長いもみあげで一見彼とはわからないマット・デイモンは、
潔癖症だったり、どんなに痛めつけられてもめげない姿などユーモラス。
『ノーカントリー』とは逆に追われる悪人を演じたジョシュ・ブローリンも、
少ない出番ながら印象的な"小物ぶり"を見せるし、さらにもう一人、
これまた悪人でありながらほかのチンピラとは違う懐の深さのようなものをチラリと見せる、
バリー・ペッパーの化けっぷりもとても印象深かったです。
そして何より今作を魅力的にしているのは、マティを演じたヘイリー・スタインフェルド。
ほぼ役と同じ年齢で、どうしようもない大人たちを相手に一歩も怯まず、
マティというキャラクターを完璧に演じきっていました。
また一人、将来が楽しみな女優さんの登場でワクワクしています。


True Grit(2010 アメリカ)
監督 ジョエル・コーエン イーサン・コーエン
出演 ジェフ・ブリッジス ヘイリー・スタインフェルド マット・デイモン
   ジョシュ・ブローリン バリー・ペッパー



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コメント 4

堀越ヨッシー

こんにちは。
楽しみにしていたレビューがやっと読めて嬉しいです(^皿^)。
dorothyさんが西部劇苦手だというのが、ちょっと意外でした。まあ、ジェフ・ブリッジスが子供を蹴りまくる場面を見たら、確かにそんな気分にもなろうってもんですが(苦笑)。
オイラは未見なのですが、「狩人の夜」という作品との関連付けは、興味深く読ませて頂きました。
 
さて、西部劇が苦手というdorothyさんに敢えてお薦めしたいのが、オイラもつい最近見た「3時10分、決断のとき」という作品。もちろんリメイク版の方です。クリスチャン・ベール演じる主人公の生き様に男泣き必至です。機会があれば是非是非!。
 
さあ、次は父さんキツネです!(またプレッシャー!?)
by 堀越ヨッシー (2011-04-22 08:09) 

dorothy

堀越ヨッシーさん、こんにちは。
期待されてるという緊張感からグダグダな感想になってしまいましたw

『狩人の夜』は本当に傑作なので、ぜひなんとかご覧になっていただきたいです。
ロバート・ミッチャムが強烈ですよ!

で、『3時10分、決断のとき』はもちろん西部劇苦手なんでスルーしちゃったわけですがw
ちゃんとWOWOWで放送したのを録画して、いつかは観よう!と思ってます。

父さんギツネ...あああ(泣。その前に期待を裏切って違う記事をアップするかもです。
いや、実は何も考えてません!
by dorothy (2011-04-23 03:31) 

堀越ヨッシー

追記:昨日ヤマダ電気のDVD売り場で早速「狩人の夜」を見つけ、手にとるところまではいったんですが、すみません....「タイタンの戦い」安価版を購入してしまいました。いつまでも頭の中は中学生です(苦笑)。「狩人の夜」はパッケージ裏の解説を読んだらなんだか面白そうだったので、そのうち是非見てみたいと思います!(^皿^)。
by 堀越ヨッシー (2011-04-23 09:15) 

dorothy

堀越ヨッシーさん
いつまでも少年のココロは大切です...ということでw
by dorothy (2011-04-24 04:19) 

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