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インセプション [映画感想−あ]

何かと忙しくて1ヶ月以上更新をサボってしまいました。
忙しさは相変わらずなのですが(その割にTwitterには普通にツイートし続けてますが!)、
少しは更新しないとソネブロの中の人に怒られそうなので重い腰をほんの少し上げることにします。

というわけで今回は最初から大傑作!と言ってしまうしかない『インセプション』を。
本当はもう一度(あるいは二度三度)観てから感想を書きたかったのですが、
相変わらず忙しくていつ行けるかわからないので、
とりあえずこの一度目の状況で感想を書くことにしました。
それも、観てからもすでに2週間近く経ってしまっているという曖昧さの中なので、
忘れてることや勘違いも多々あるかも知れませんがどうぞご容赦ください。

それから、この作品はどうしても内容に触れずに書くことは不可能だし、
いわゆるネタバレと思われても仕方ない文章になってしまうと思うので、
未見でネタバレはカンベンという方はご覧になってからもう一度お越しください。
とにかくこれは、できればまっさらな状態で観て欲しいです。


inception_1.jpg


コブ(レオナルド・ディカプリオ)はある特殊な技能を持った企業スパイ。
その"方法"は、人の夢に入り込み、アイディアを盗み取るというものです。
そんなコブの元に、ある大企業のトップであるサイトー(渡辺謙)が接触してきます。
彼の依頼はライバル会社社長の息子ロバート(キリアン・マーフィー)に、
あるアイディアを"インセプション"(植え付け)し、その会社を解体させるよう仕向けるというもの。
それはあまりにも困難な依頼でしたが、実はコブはある事件の容疑者として指名手配中で、
母国アメリカへ入国できないという事情を抱えており、
サイトーはもしこのミッションが成功したらコブの犯罪歴を消し、
無事帰国できるよう手配すると持ちかけ、コブはその仕事を請け負うことにします。
そこで昔からの仕事仲間であるアーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)、
イームス(トム・ハーディ)、ユスフ(ディリープ・ラオ)らを招集、
さらに建築を勉強中のアリアドネ(エレン・ペイジ)を新たにメンバーに加え、
ミッションを決行しますが・・・。


この作品、監督・キャストがとにかく期待せずにはいられない魅力的な面々ばかりで、
小出しにされる製作情報、撮影現場のスチルなどを目にするたびに期待がどんどん膨らんでいって、
これはもう期待しすぎで始まっちゃうとアレアレ?となるんじゃないかという心配すらありましたが、
いえいえ、まったく無用な心配でした。
確かに冒頭のハリウッド的ヘンな日本描写にチラッと不安はよぎりましたが、
そんなものはあっという間にどこかへ吹っ飛んでしまいました。
まあヘンな日本描写と言ってもこのシーン、すでに夢の中なんですね。
そう思えば多少の奇妙さも気にならないし、謙サンのヘンにキモノチックな服も、
謙サンだから全然違和感なく着こなしちゃっててむしろカッコイイ!

コブ率いる夢泥棒集団は、武器やクスリや変装に詳しいメンバーがそれぞれに活躍するところが、
『オーシャンズ』シリーズのあの泥棒チームみたいな雰囲気です。
あちらからお気楽な笑いの部分を抜いて、お爺ちゃんやカンフー使いなど人数も減らして、
目的が大金じゃなくアイディアを盗むこと、そして舞台をラスベガスじゃなく夢の中にした感じ・・・と、
かなり安直な例えでお恥ずかしいですが、でもあちらより少数精鋭な分、
こちらはテキパキした手際の良さを見せてくれるのでだらけることもありません。
だらけるも何も、全体にあまりにも情報量が多すぎてだらけてるヒマもないというのが正直なところで、
全神経を集中して観ていても、ちょっとでも「あれ?」と思ったら最後、
あっという間にそこに置いてきぼりにされる感じで一瞬でも気が抜けません。


inception_2.jpg


人の夢に潜入してアイディアを盗むとか潜在意識を植え付けるとか、
話を聞いただけじゃ訳がわからないし、実際見終わっても「?」と思う部分は多々あります。
夢に潜入する方法も、たびたびその"機械"は登場するし、一応劇中で説明もされるのですが、
「夢に潜入するんです」「ハイわかりました」という感じの強引さです。
ジャック・フィニイの『ふりだしに戻る』という有名なSF小説がありますが、
これはある場所で強く"念じる"と、その場所の過去の時代にタイムスリップするという話で、
いわゆるタイムマシンのような機械的なものは一切登場しないちょっと変わったタイムトラベルものでした。
私はこのアイディアがものすごく面白くて、読んだ当時とても夢中になったのですが、
たまたま最近、ちょっと調べたいことがあって何年ぶりかでこの本を手に取ったばかりだったこともあってか、
今作を観ているあいだ、この『ふりだしに戻る』の強引さをなんとなく思い出していました。
映画だしSFだしで何でもアリでいいと思うし、個人的にやたらメカや仕組みなど理屈っぽいものより、
「そういうもんなの!」で押し切る話の方が好きなので、この点が本当に楽しいなあと思いましたが、
そういう曖昧さが理屈に合わないとか矛盾点が気になってしまう人には、
あまり単純にこの世界を楽しむことはできないかも知れません。

夢から覚めるためには死ぬか強烈な"キック"を使うというのは、
実際自分が何か怖い夢を見ている時「これは夢なんだから覚めて覚めて!」と思い、
無理矢理何かに突っ込むとか無茶をする・・・ということをよくやる(!)ので、
妙にこのルールには納得してしまいました。
また、シャンパンの飲み過ぎで夢の中がどしゃ降りなんていうのは、
寝ていてトイレに行きたいと雨や水の夢を見るとよく言われるアレね、なんて、
そんな感じで私たちが普段見ている夢に対する接し方や考え方が踏襲されているというか、
「あ、わかるその感覚!」という点がいくつも出てきてそういうところも単純に楽しめました。
それと、ターゲットとなる人が今自分がいる世界が現実ではなく他人の夢の中だと認識すると、
夢の主が途端に通行人にじろじろ見られたり攻撃されるというのも面白くかつ不気味で、
これもまさにいやな悪い夢を見ているような恐怖を感じさせました。

やがてミッションは夢の中の夢、さらに夢という多重構造を作り出すことになり、
それぞれの階層で流れる時間が違い、夢の舞台も様々で、
またある条件により夢の中で死ぬと"虚無"に落ちるというルールも登場します。
これらは観ている間「えっと、これって?それって?」と私のアタマでは混乱しそうになるのですが、
圧倒的に美しく強烈な映像でぐいぐい、ぐいぐい話を進めていくので、
観ているこちらも宙に浮かされ夢の中に押し込まれ巻き込まれていく感じで、
この強烈さはただただ「面白い」というどうしようもなく陳腐な言葉で表すしかありません。


inception_3.jpg


実はコブは妻モル(マリオン・コティヤール)を不幸な事故で亡くしたことがトラウマになっていて、
そのため非常に不安定で、それがミッション自体に悪影響を与え、何度も危機が訪れます。
有能な集団が次々に仕事を成功させ解決させていくのかと思えばそうではなくて、
しかもリーダーであるコブが一番不安定な問題を抱えているということで、
単純なアクションものにしていないところがどこか同じクリストファー・ノーラン監督作である、
『メメント』や『ダークナイト』の主人公の影を描いたものに通じるところがあると思いました。

サイトーの思惑やロバートの父親(ピート・ポスルスウェイト)との確執などが、
どのように展開し、成功するのか失敗に終わるのか、そもそも何を持って成功というのか、
どこが終着点なのかが本当にわかりません。
すべてが夢の中で行われていることで、しかもその夢の中のさらに夢、またさらに夢という、
いくつもの階層へとどんどん深みにはまっていく展開がとても複雑で、
アタマの中で「?」がグルグル、クルクル回り続けてしまいます。
けれどそんな壮大なハッタリのような、だからどうしたいのよ!?みたいなことが、
まったく不愉快にもならず、ただただこの大袈裟な夢の世界にずっと居たい!
このまま虚無に落ちてもいい!と思ってしまうのでした。
そんな「このままずーっとやってて欲しい」と思う反面、
見終わって早く「あれは」「あのシーンは」「あそこの意味は」と、
いろんなことを誰かと語り合いたくもなります。
一度では理解しきれない部分がたくさんあるので、結末をわかった上で、
見渡しきれなかった、見落としていた細部を確認する意味でももう一度、二度と繰り返し観たいと思わせます。

おそらく多くの人が『マトリックス』を初めて観た時の感触を思い出すのではないかと思うのですが、
今まで観たことのない世界、世界観、刺激的な映像など共通点はかなり多いと思います。
けれどカンフーやガンアクションなど、その後の続編の展開なども含め、
『マトリックス』はどちらかというとオタク受けの色あいが強かった気がしますが、
こちらはサスペンスやリアルなアクションを見せながら、さらに夫婦や親子の愛情といったものまで描き、
最初から最後まで余計な部分や冗長だと思わせるところがまったくない、
ものすごくキッチリとクールにクレバーに描ききっていて、本当にとことん面白かったです。


inception_4.jpg


豪華で個性的なキャストがたくさん出演していますが、それぞれがキッチリと正しい仕事をしていて、
演出も演技もキャスティングもすべて正解というのも奇跡のような作品です。
あまりにも全員が素晴らしいせいで、一応の主役であるディカプリオの影が薄かった気もしますが、
彼は最近こういう、奥さんを亡くしてどうかなる作品が続いてるということもあって、
ミスキャストのようにも言われていますが、だからこそ彼の"痛み"はわかりやすくもありました。
彼の"眉間にシワ寄せ"演技はもう彼のスタイルとして確立してると思うし、
もはやアル・パチーノが何をやってもアル・パチーノなのと同じ域なんじゃないか(!)と思うようになりました。
でも、そろそろほかの顔も観てみたいですが。"やればできる子"なハズだし。

それからほかのメンバーの背景なんかももうちょっと描かれると良かったかな、と思いました。
それだと何時間あっても足りないかもですが。
アーサーはどうしてコブの助手的な立場になったのか、彼はそもそもどういう人なのか、
あの活躍ぶりを見ればいろいろ知りたくなるってものです。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットが今作ですっかり株を上げてしまったのが、
嬉しいような複雑な気持ち・・・でもヘタに『(500)日のサマー』で人気が出て、
アイドルっぽく扱われるのよりは良かったかなあと思いますが。
彼といちゃいちゃ(?)するトム・ハーディもすごく良かった。
そして我らが謙サン!後半瀕死の状態になってしまってあまり活躍しなくなるのが残念ですが、
最初の方の銃撃戦とか夢を見破るシーンの迫力とかまったく引けを取ってません。
世間的には監督の嗜好なのだ、という結論みたいですが男性陣はとにかく全員カッコイイ!
彼らのスーツ姿のキマリかたといったら!それに引き換えエレン・ペイジのスーツ姿、
というかあの戦後のOLさんみたいな髪型は可哀相過ぎでした。
と、こういうどうでもいいミーハーな部分も楽しめる、本当に盛りだくさんの大傑作。
なんとかもう一回劇場に行きたいし、それと早くメイキング満載のソフトを出して欲しい!
21世紀のフレッド・アステア!と言えそうな、あのアーサーの無重力シーンなんて、
いったいどうやって撮ったのかとか、知りたいことがいっぱいです。
ディレクターズカットとか言って4時間ぐらいに伸ばしてくれてもいい!


Inception(2010 アメリカ/イギリス)
監督 クリストファー・ノーラン
出演 レオナルド・ディカプリオ ジョセフ・ゴードン=レヴィット エレン・ペイジ
   トム・ハーディ 渡辺謙 ディリープ・ラオ キリアン・マーフィー トム・ベレンジャー
   マリオン・コティヤール ピート・ポスルスウェイト マイケル・ケイン ルーカス・ハース




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コメント 8

ぷーちゃん

これは、drothyさんも
大傑作との事なので観なきゃ。
コメントは、スルーして、
足跡だけ残しておきます。
めっちゃ久々の更新でしたね。(^_-)
by ぷーちゃん (2010-08-09 16:54) 

dorothy

ぷーちゃんさん、こんにちは。
忙しいのとやる気が出ないので初めて1ヶ月以上も更新しないでしまいました。
ぷーちゃんさんの元気を少し分けていただきたい・・・。

ちなみに、これはホント必見ですよ!劇場へGO!!
by dorothy (2010-08-10 04:13) 

堀越ヨッシー

dorothyさん、こんにちは。
おー、久しぶりの更新だ(笑)。記事を読みたいけど、未見なので読めない読めない(がっくし)。
実は公開前は映画に対してもっとテンション高かったんですが、公開前にテレビ(特にTBS)に出まくる謙さんを見ていたら、なんだかモーレツに士気が下がってしまったという...(^皿^;)。
でもやっぱり劇場で観るべき作品なんですよね?、....ウーム、やはり時間を作って観に行かなければならないのか....悩ましい。
今月は「ヒックとドラゴン」「Aチーム」があるし、う〜ん、悩ましいッ!。
 
ところで全然関係ないですけど、dorothyさんって長崎生まれだったのですね。同郷ですね!(^皿^)b
by 堀越ヨッシー (2010-08-10 07:29) 

dorothy

堀越ヨッシーさん、こんにちは。ご無沙汰でした!
もう絶対観るべきですよ、べき!
最後のサントラ盤リンクの上にチラッと書いたんですが(これもネタバレリンクなのでご注意)、
ハンス・ジマーのスコアに後で知ってビックリな仕掛けがあったりとか、
もうね、コレは絶対劇場で体感しなくては!ですよ。

ところでなんで長崎生まれがバレたんだ?...ってツイッタ読まれてるのかあ!
黙っててごめんなさいw
by dorothy (2010-08-11 07:26) 

ぷーちゃん

報告!今日、劇場で見て来ました。
で、記事も拝見しました。
ド級の映画で、真剣に見続け、あっという間の
2時間半でした。(^-^)v
by ぷーちゃん (2010-08-15 18:17) 

dorothy

ぷーちゃんさん、ついにご覧になったのですね!
よかったら感想聞かせてくださーい!
by dorothy (2010-08-15 19:14) 

Nightwalker

はじめまして。

>最初から最後まで余計な部分や冗長だと思わせるところがまったくない、
ものすごくキッチリとクールにクレバーに描ききっていて、本当にとことん面白かったです。

これ、物凄く同意です!今まで1本の作品でここまでまとめあげられてるのって、あったっけ?っていう印象です。

あとBGMが凄くよかったですね。この世界のヤバさを掻き立てます。

またおじゃまします~。
by Nightwalker (2010-08-20 00:42) 

dorothy

Nightwalkerさん、はじめまして。
観ている間はずっと音楽が鳴ってるなあと気になりつつもギリギリ気にならないという、
すごく不思議な感覚に囚われていました。
見終わって「ああそういうことかあ」と。

良かったらまた遊びに来てくださいネ。
by dorothy (2010-08-20 01:50) 

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