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ブラック・スネーク・モーン [映画感想−は]

大きな鎖で繋がれ、挑発的な瞳でこちらを見るクリスティーナ・リッチ。
その鎖を持つのはサミュエル・L・ジャクソン。
このただならぬ雰囲気のポスター・・・いったいどんなトンデモな世界が待ち受けているかと思えば、
実は深い愛に満ちあふれた救いの物語でした。


テネシー州の小さな町に住むラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)は
農夫で元ブルースミュージシャン。
妻は彼に愛想を尽かし、彼の弟と浮気をした揚げ句、彼の元を去ります。
ある日、彼は家の前に血まみれで半裸状態の若い女が倒れているのを発見します。
彼女の名前はレイ(クリスティーナ・リッチ)。
子どもの頃に受けた虐待のせいでセックス依存症となっていた彼女は、
恋人ロニー(ジャスティン・ティンバーレイク)が入隊してしまった孤独に耐えられず、
酒とドラッグに溺れ、男漁りを繰り返していたのでした。
ラザラスはレイを家に運び看病しますが、やがてレイの心の闇を知ったラザラスが取った行動、
それはレイを大きな鎖で繋ぎ監禁することでした・・・。


初老のブルースマン、ラザラス
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宗教的な表現が多く、ラザラスがなぜここまでレイを救おうとするのかというのが、
感覚的にわかりにくい気もしましたが、鎖で繋ぐという奇妙な発想は、
ラザラスがレイの中に悪魔を見たせいなのかなと解釈しました。
レイが高熱で意識朦朧とし、ラザラスに罵声を浴びせ、
それに驚いたラザラスは思わず聖書を持って家を飛び出してしまいます。
開かれた聖書のページに見入った彼が次に取った行動は、彼女を氷水のバスタブに浸すこと。
よくわからないけど、まるっきり悪魔払いの雰囲気で、
そのエクソシストな展開に思わず笑ってしまったのですが、
それでも止まらない彼女の奇妙な行動に、ラザラスはついにレイを大きな鎖で繋いでしまいます。
やがてレイの熱が下がり、意識を取り戻した彼女は当然、繋がれていることに反発するのですが、
次第にそのことを受け入れるようになり、けれど彼女の"病気"はたびたび顔を出し・・・と、
このあたりの2人の行動、心の動きの"真剣勝負ぶり"はすさまじい。

ここで面白いのは、ラザラスとレイの2人だけの世界に閉じこもるのではなく、
ラザラスの親友である神父や、ラザラスを慕う少年も巻き込んでいくことです。
ラザラスはレイに決して"手を出す"ことはない。本当に無償の行為として彼女を救おうとする。
2人の行動が周りに知られることにより、それがなお一層はっきりするし、
あくまで2人は精神的に結ばれるだけ。
そしてレイを救うことでラザラスも過去を忘れ、立ち直ることができるのです。
やがて2人の心が嵐の夜、1つになる。
2人の心を繋ぎ、それぞれの心を解放させるもの、それは・・・ブルース!!


心に闇を抱えるレイ
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とにかくブルース、ブルース、ブルース!
こんなにサミュエル・Lがブルースマンだったとは知りませんでした。
彼がひとり家で、そしてステージで歌うブルースの数々、
これだけでも観てソンはない素晴らしさです。
まったく予備知識無く見始めたので、見終わって初めて気がついたのですが、
監督のクレイグ・ブリュワーという人は『ハッスル&フロウ』の監督と同じ人だったのですね。
そうと知って納得。まさにあの作品と実によく似た世界なのです。
『ハッスル〜』も社会から取り残され、挫折を知った登場人物たちが、
ヒップホップを通して自分の人生を取り戻していくというストーリーでしたが、
この作品では、ブルースを通して立ち直っていくのです。
それに、ブルースマンのラザラスだけでなく、レイもか細い声で歌い始めるあたり、
『ハッスル〜』でテレンス・ハワード演じるDジェイのラップに、
彼を慕う売春婦のシャグの声が重なり、ひとつの素晴らしい作品となったあたりを思い出させました。
いずれも、音楽の完成度の高さはちょっと尋常じゃないです。
この監督サン、要チェックです。


Everyday I have the Blues !!
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サミュエル・L・ジャクソンの老人ぶりはちょっとびっくり。
少しヨロヨロと歩く姿はモーガン・フリーマン!?と思ってしまいました。
でも眼光の鋭さ、いつもの説教先生っぷりも登場するし、
ドラッグストアのアンジェラ(S・エパサ・マーカーソン)に見せる笑顔はとってもスウィート。
対するクリスティーナ・リッチの体当たりぶりには感心しました。
『バッファロー'66』の頃の半分ぐらいのカラダになって、
その細さ、ヌードも厭わない役者根性、一段と目立つようになった大きな瞳が、
なんとなく若い頃のスーザン・サランドンを思い出させました。
将来、あんなリッパな女優さんになるかどうかは「?」ですが、
このガンバリは素直に認めるしかないです。
ジャスティン・ティンバーレイクもなかなかどうして。
ちゃんとしたお芝居をするのは初めて観ましたが、
こういうどっか弱々しげな雰囲気は元から感じられるところだったし、
俳優業もこれからいろいろ観てみたいです。
ここまで音楽モノ名作を連発してるクレイグ・ブリュワー監督作で、
今度は主役を張れるといいですね。

キワモノ風ポスターやタイトルで食わず嫌いしたら絶対にソンな、
凄まじい愛と救済のドラマ。そして素晴らしい音楽。ブルース!
1人でも多くの人に観て欲しい傑作。


Black Snake Moan(2006 アメリカ)
監督 クレイグ・ブリュワー
出演 サミュエル・L・ジャクソン クリスティーナ・リッチ ジャスティン・ティンバーレイク
   S・エパサ・マーカーソン ジョン・コスラン・Jr.


ブラック・スネーク・モーン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD


タグ:映画
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堀越ヨッシー

あー、これ、パッケージ写真を見て気にはなっていた作品です。サミュエル兄貴好きなもんで(^皿^)。今公開してる「1408号室」も気になってるんですけど、なかなか見に行けずで..。
この作品も機会があればレンタルして、見てみようと思います(←こればっかり)。
by 堀越ヨッシー (2008-12-04 07:32) 

dorothy

ヨッシーさん、こんばんは!
サミュエルファンは必見ですよ。ブルースシーン、確実にシビレます!
『1408号室』は私も気になってるんですが・・・DVD鑑賞になりそうかなあ。
by dorothy (2008-12-05 00:51) 

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