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ハサミを持って突っ走る [映画感想−は]

数年前、IMDbなどで調べものをしているとよく目にしたタイトル『Running with Scissors』。
おそらくブラッド・ピットの会社「プランB」のプロデュース作品で、
それにグウィネス・パルトローが出演するのかあ、なんてこととか、
今回、出演者の顔ぶれを見て思いだしたジョセフ・クロスやパトリック・ウィルソン、
クリスティン・チェノウェスのことなどを調べた際にもこのタイトルを見かけた記憶があって、
当時なんとなく興味を持っていたのですが、その後、日本で公開される話がなく、
いつの間にかすっかり忘れてしまっていました。
そこでこの邦題・・・これって『Running with Scissors』のことでは!?と急に記憶が蘇り、
ものすごく大きな期待を持って鑑賞しました。


1976年。少年オーガステン(ジョセフ・クロス)の両親、
アルコール依存症の父ノーマン(アレック・ボールドウィン)と、
詩人として有名になることを夢見ている母ディアドラ(アネット・ベニング)の関係は、
すでに完全に冷え切っていました。
そのことで鬱状態に陥ったディアドラは、
精神科医フィンチ(ブライアン・コックス)の元に通い始めます。
やがてオーガステンは、なぜかそのフィンチの家に預けられてしまうことに。
母親以上に風変わりなフィンチ一家に最初は戸惑いながらも、
オーガステンは美容師になる夢を持ち始め、また自分がゲイであることにも気づき・・・。


悩み多きオーガステン
runningwithscissors_1.jpg


原作は著者オーガステン・バロウズの自伝的小説で、
アメリカではベストセラーだったとのこと。
確かに自伝小説によくあるパターンと言えそうな雰囲気を持っていて、
あまり目新しい印象は受けません。
風変わりな人々がたくさん登場し、書いてる本人が一番マトモ。
それはもちろんその著者の視点で語られているからでしょうし、
どこまで真実なのかフィクションなのかもわかりません。
とはいえ、目新しくはなくても、
この変わった人たちの話が面白くないかと言えばそんなことはなく、
次々登場するあきれたエピソードはそれなりに楽しめます。
また、豪華なキャストの演技もそれぞれ見応え充分。
それでもベストセラー小説の映画化という期待が大きすぎたのか、
アメリカ人の観客も私が感じたように「?」という感想だったのか、
映画の興行収入的にはイマイチだったようです。

登場人物全員変わり者ばかりで、そして誰も彼も自分のことにしか関心がない。
こんな両親の間で育てば、子どもたちはやはりフツーには育たないだろうなと思わされるし、
変わった人の周りには、やはり変わった人が集まって来てしまうのでしょう。
あまりにもヘンな人たちのヘンなエピソードは、上にも書いたように面白くはあるのですが、
観ている間中、常に「だから何?」という思いがつきまとっていたのも正直なところです。
当然オーガステンの主観だけで物語が進むとはいえ、
あまりにも全員の個性が強すぎ、オーガステン同様、彼らに振りまわされる感じで、
物語のポイント、何を言わんとしているのかがはっきりしないのです。


オーガステンの両親、ノーマンとディアドラ
runningwithscissors_2.jpg


その混沌の中で成長するオーガステン、ということで良いのかも知れないし、
このワケのわからなさこそがテーマと言っていいのかも知れません。
ですが、母親ディアドラの悩みや、どうしても変わらない困った母親ぶりに、
もっと重きを置いても良かった気がするし、
精神科医フィンチの存在があまりにもナゾで、彼の言動に家族がついて行くのは当然としても、
彼の医者ぶりはどうも胡散臭く、それでも患者はひっきりなしにあるようだし、
でも税金滞納はしてるし、と、イマイチ理解できませんでした。
フィンチのディアドラに対する態度・・・離婚させ、息子と引き離す真意は何だったのかも、
いまひとつわかりにくいままでした。
登場人物が多いとは言ってもいわゆる群像劇ではないのだから、やはりどこかに焦点を絞り、
何かしらの展開、解決などの結論めいたことが欲しかった気がします。
オーガステンとフィンチの妻アグネスの、一番通じ合わなそうに始まり、
最後には心を通わせ合う様子が、やはり一番心に残っていたりするものなので。

同性愛やドッグフードを食べること、排出物に神の啓示を見ることなど、
あらゆる"ちょっと変わった物事"を呈示することによって、
何がマトモで何が異常なのかは誰にもわからない、決められないということを、
混沌の中で表したかったのかも、という理解もできます。
そんな中、だんだん精神的に壊れていくディアドラこそがむしろマトモなのかも知れないし、
オーガステンがその姿を見て涙を流し、救おうとするのは当然としても、
フィンチまでも必死に彼女を助けようとするのは彼がマトモだからなのか、
いつまでもいつまでも「?」がまとわりついてしまっていました。


ナゾのフィンチ一家
runningwithscissors_3.jpg


本当に豪華なキャストを1人1人挙げていくのはキリがないので、印象的な人を何人か。
ディアドラ役のアネット・ベニングは今作でゴールデングローブにノミネート。
自意識過剰な素人詩人、そして次第に精神に異常を来していく様はさすがとしか言いようがないです。
オーガステンの"もう一人の母"とも言える、フィンチの妻アグネス。
この強烈なオバサンは誰?・・・ジル・クレイバーグ!?『結婚しない女』の!?
今作一番の衝撃キャストでした。
オーガステンと年も近く、意外にマトモなフィンチ家の次女に、
『ダウン・イン・ザ・バレー』のエヴァン・レイチェル・ウッド。
もう全然、姉役グウィネス・パルトローなんか食っちゃってます。
オーガステンの"恋人"となるニール役のジョセフ・ファインズのキレぶりも見ものです。
で、結局パトリック・ウィルソンの出番はあれだけ?

ところで、自分では気がつかないうちに私はこの作品の選曲をしたようで、
フィフス・ディメンションの『One Less Bell To Answer』が流れたあたりで、
「あれ?」と思ったんですが、
10ccやエルトン・ジョンの『Benny And The Jets』が流れた時点で確信しました。
ナット・キング・コールの多用ぶりも私の仕業に違いない。
・・・あ、私もちょっとフィンチ先生のお世話にならなきゃかしらん?


Running with Scissors(2006 アメリカ)
監督 ライアン・マーフィー
出演 アネット・ベニング ブライアン・コックス ジョセフ・ファインズ エヴァン・レイチェル・ウッド
   アレック・ボールドウィン ジョセフ・クロス ジル・クレイバーグ グウィネス・パルトロー
   ガブリエル・ユニオン パトリック・ウィルソン クリスティン・チェノウェス



ハサミを持って突っ走る

ハサミを持って突っ走る

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD



ハサミを持って突っ走る

ハサミを持って突っ走る

  • 作者: オーガステン バロウズ
  • 出版社/メーカー: バジリコ
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 単行本


タグ:映画
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コメント 2

hash

こんばんは。
変な映画でしたね。
と言うより、変人だらけの映画でしたね。
でも、アメリカだと本当に居そうと思えてしまいます。
by hash (2008-12-04 00:46) 

dorothy

hashさん、こんばんは!
こんなに豪華なキャストに変人を演じさせる贅沢!
ストーリーよりそっちのほうが気になってしまいました。
by dorothy (2008-12-05 00:56) 

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