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狼たちの午後 [映画感想−あ]

子どもの頃、テレビの洋画劇場か何かで観て以来でした。
名作としていろんなところで紹介されたり引用されたりするので、
何度も観ている気すらするのですが、
改めて観てみると断片的なことしか覚えておらず、ほとんど初見の気分でした。


1972年8月、ニューヨーク・ブルックリン。3人の男が閉店間際の銀行に入っていきます。
目的は銀行強盗・・・しかし、1人は早々に怖じ気づいて逃げ出してしまう。
残った2人、ソニー(アル・パチーノ)とサル(ジョン・カザール)も、
現金を奪ってすぐに引き上げるつもりが、あっという間に警察に包囲されてしまいます。
銀行員たちを人質に取り、彼らの長く熱い午後が始まります。


ソニーとサル
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実際にニューヨークで起きた事件を元にして作られた作品。
ジリリと鳴る電話でのやりとり、白黒ポータブルテレビに映し出される実況中継など、
まだハイテク機器などのない時代、
刑事(チャールズ・ダーニング)もカラダひとつで交渉にやってくるし、
どこかのんびりした雰囲気は実に時代を感じさせます。
「銀行に詳しい」と言いながら、確かに最初は手際よくすら見えるソニーの行動ですが、
どうもそれほど計画を立てていた風でもなく、また状況もどんどん変わっていきます。
その様子は多少滑稽でもあり、そんな2人を見て人質たちもすぐにソニーたちを恐れなくなり、
いわゆるストックホルム症候群のような好意的態度を取り出し、
人質であることを楽しむかのような様子も見せ始めます。


人質となった銀行員たち
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交渉は直接ソニーが外に出て警察と行うことになりますが、
人質の命がかかっているため警察も手出しはできません。
解放された人質を犯人だと思い、いきなり取り押さえてしまったり、
裏口から侵入しようとするのをあっさり見破られたりといった警察側の不手際が多く、
そんなこともあって、周りを囲む野次馬たちはあっという間にソニーをヒーロー扱いし囃し立てます。

やがて、ソニーが銀行強盗をやろうとした理由が少しずつ明らかになります。
両親、妻と2人の子供、そしてもう1人の"妻"・・・そんな家族たちのためであったのに、
彼らは電話で話したり、現場にやってきて"説得"を始めても、
誰もソニーのことを本当に思い遣っていたりしません。
その様子は、観ているこちらもやりきれない気持ちになってきます。

とにかく、アル・パチーノの演技の凄さ。
イライラと動き回ってみたり、また逆に瞳の動きだけで細かな感情の動きを表してみたり、
この人の凄さを改めて思い知らされた感じです。
そして実にチャーミング。この人こんなにカッコ良かったっけ?と思わせる”イケメン"ぶりです。
それから相棒サル役のジョン・カザール。
終始おどおどとしつつ、何をしでかすかわからない狂気も秘めていて、
オチをわかっていただけに、ずっと虚しさを感じながら観ていました。
夭折した名優として知られていますが、こういう作品での名演を見ると、
ただただもったいないと思ってしまいます。


素晴らしいジョン・カザール
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ヒーローなど1人も出てこない、登場人物全員がどこかしらカッコ悪く、人間くさい。
実際普通の人なんてみんなこんなもんだろうし、
それだけにFBIの下す決断は、これまた実際にこんなに冷酷なものなんだろうなと思いました。
最後にソニーが見せる表情・・・周りで起こっている状況を見つめる彼の瞳のなんとも言えない虚しさ。
幾分長いとも思える、彼の表情を追い続けるラストシーンですが、
そこに、ここまでに至る騒ぎや虚しさがすべて集約されています。

最近のテンポの速く、ハイテク使いまくり&ドンパチしまくりの映画を見慣れた目には、
多少のんびりし過ぎて退屈にも思えるかも知れませんが、
名監督シドニー・ルメットの、ユーモアを持ちながらも冷静な演出、
そしてアル・パチーノの完璧な演技を堪能できる素晴らしい作品です。


Dog Day Afternoon(1975 アメリカ)
監督 シドニー・ルメット
出演 アル・パチーノ ジョン・カザール チャールズ・ダーニング クリス・サランドン



狼たちの午後

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD



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