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ダウン・イン・ザ・バレー [映画感想−た]

草原で見つめ合う二人、という、なんともラブリーなスチールを記憶していたので、
エドワード・ノートンの甘いラブストーリーなのかしらん?と思っていたら、
当然、そんなことはありませんでした。


17歳のトーブ(エヴァン・レイチェル・ウッド)は、
ある日友だちとビーチへ行く途中立ち寄ったガソリンスタンドで、
風変わりな"カウボーイ"ハーレン(エドワード・ノートン)と出会います。
彼を海へ誘い、あっという間に恋に落ちてしまう二人。
優しく礼儀正しい彼に、トーブの13歳の弟ロニー(ロリー・カルキン)も親しみを持ちますが、
父親(デヴィッド・モース)は二人の交際を反対します。
ハーレンに不審なものを感じたからです。
そして彼が単なる田舎出の素朴なカウボーイではないということが少しずつ明らかになってきます。


幸せな時間は短い
downinthvalley_1.jpg


エドワード・ノートンだから当然の展開とも言えるのですが、
ハーレンの行動は充分不審であやしい。
彼の口から出てくる言葉はウソのような本当のような。
誠実そうな物言いなのに、どこかちぐはぐとしています。
一人、部屋で"カウボーイごっこ"をしていたり、
デ・ニーロばりに鏡に映った自分に銃を向けるシーンはどう見ても尋常ではない。
ハーレンに夢中になっているトーブも彼を信じたいと思いながらも、
いろんな出来事を通して、徐々に疑いの気持ちを持ってしまいます。
けれど、父親にそれを指摘されれば彼の側に立ってしまう。
母親のいない3人家族。遊びたい盛りの17歳の少女にとって、
父親は鬱陶しい存在以外の何者でもない。
娘に厳しいことを言う父親も家に女の人を連れ込んだりするし、弟の面倒は任せっきり。
そこへ現れた、ちょっと時代錯誤に見えるカウボーイは、
彼女にとってどんなに新鮮で、まさに白馬に乗った王子様に見えたことでしょう。
二人が初めて出会うガソリンスタンド。
クルマのリアウィンドウ越しにお互い目が合うシーンはとても絵になっています。


父親の目に映る彼は
downinthvalley_2_1.jpg


よそから来た謎の男が娘を誘惑し、悲劇を迎える、という点で、
私はなんとなく『キング 罪の王』を思い出しました。
ただあの作品では、謎の男エルヴィスには娘を誘惑する理由がありましたが、
こちらでは、最初にハーレンのほうがトーブに誘惑されます。
年齢的にはハーレンのほうがずいぶん年上ですが、積極的なのはトーブのほう。

ハーレンがいったい何者で、どうしてそういう性格になっていったのかということが、
最後まであまり明らかになりません。
彼がユダヤ教会を訪ねたり、彼の家がユダヤ人家庭であることが少しだけ表されますが、
それ以上のことはわかりません。
あえて明らかにしないことが狙いで、彼が単なるいいかげんなチンピラであった、
ということでもいいのかも知れない。
でもそこは、エドワード・ノートンであるが故に(?)、
何か深い事情があるのでは・・・と思ってしまうのかも知れません。
もう一歩踏み込んだハーレンの人物描写があっても良かったと思います。


弟ロニーは彼を慕い続ける
downinthvalley_3.jpg


トーブを演じるエヴァン・レイチェル・ウッドは、
撮影当時、役柄と同じ17歳ぐらいだと思うのですが、
実にしっかりした体当たり演技を見せています。
美しさだけではない実力のある女優としてこれからどんどん活躍しそうです。
トーブの弟、ロニーを演じるロリー・カルキンは、
その名前からわかるようにカルキン一家のひとり、マコーレー、キーランの弟です。
M・ナイト・シャマランの『サイン』で、
『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリンとともに、
頭にキスチョコみたいにアルミホイルの帽子を被っていた男の子ですね。
カルキン印のさすがの演技力で、人見知りで孤独な少年を演じています。
父親役のデヴィッド・モースは、例によっていい人なのか悪い人なのか測りかねる感じが、
父親とはこういうものだろうなあという気にさせます。
それにしてもこの人は保安官とか警官とか刑務官とかいう役が多い人ですね。

『ダウン・イン・ザ・バレー』の"バレー"とは、
LA郊外の住宅地サンフェルナンドバレーのことで、
『ブギーナイツ』や『マグノリア』などの、
ポール・トーマス・アンダーソン作品の舞台としても馴染み深い所です。
建築中の住宅が並ぶ丘をカウボーイが馬にまたがり歩く姿は、
もちろん一見奇妙ではあるのですが、
荒涼とした景色とも言える中で、それは西部劇のようにも見え、
不思議に違和感を感じなくなります。
でも、やはりそれはまやかしであり、ハーレンは行き場を失ってしまいます。
サンフェルナンドバレーという街で人々がどう生きて行くか、という、
この街自体がこの作品のひとつのテーマだったとも言えるのかも知れません。


Down in the Valley(2005 アメリカ)
監督 デヴィッド・ジェイコブソン
出演 エドワード・ノートン エヴァン・レイチェル・ウッド デヴィッド・モース ロリー・カルキン



ダウン・イン・ザ・バレー

ダウン・イン・ザ・バレー

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • メディア: DVD


タグ:映画
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