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glee/グリー ザ・コンサート 3Dムービー [映画感想−か]

ドラマ『glee(グリー)』のキャストが今年アメリカ、カナダ、イギリス
そしてアイルランドの4カ国21都市で44日間にわたり行ったコンサートを収録。
glee大好きな私にとってはもしかしたら今年一番待ち遠しかった作品だったかも!?

映画は各地でものすごい盛り上がりをみせるコンサートの映像をたっぷり見せながら、
合間にgleeのファン三人の"ドラマ"が描かれます。
番組では通常口パク(というか歌別録り)なので、
キャストが実際に歌い踊る姿は見応えがあり、改めて彼らの実力がよくわかりました。
ブロードウェイ経験者であるリア・ミシェル(レイチェル)はさすがの堂々とした歌いっぷりだし、
ヘザー・モリス(ブリタニー)、ハリー・シャム・Jr.(マイク)のダンサー二人、
ダレン・クリス(ブレイン)とウォーブラーズのステージなどはさすがに上手い!
一方、コリー・モンティス(フィン)やディアナ・アグロン(クイン) 、
クリス・コルファー(カート)などはこんな風に人前で歌うことには、
あまり慣れてないんじゃないかなあと思える緊張感も伝わってきて、
そこがかえって初々しくもあり、本当に純粋に感動してしまい、
出来ることなら会場の観客のように声援を送り一緒に歌いたい気持ちでいっぱいでした。


glee3dconcert_1.jpg


一方、ステージシーンの合間合間に挟まるファンのパート。
いずれも身体的、精神的に少し"人とは違う"三人が、その違いにどう接し、
立ち向かったのかが、かなり長い時間を割いて描かれます。
彼らがgleeという番組に出会ったことでいかに乗り越えたのかが語られるのですが、
これはgleeの、いわゆる「人は、みんな違ってみんないい」(ちょっと違いますが)
というテーマに沿っているわけで、確かにまるでどれもgleeのエピソードのようだし、
特にゲイの男性の話はそのままカートの物語にもなりそうなものでした。
このパートがあることが、作品を単なるコンサート映画ということではなくしています。

gleeというドラマの一貫した主張である、マイノリティだとか負け犬だとか言われる、
いわゆる学園内ヒエラルキーの底辺にいる者たちが、
どうやってそこから立ち上がるか、あるいはどうすれば輝けるのかを、
この映画でもテーマとして掲げて作られているわけで、
そこはなるほどと感心してしまうのですが、
ただ私やおそらくこの作品を楽しみにしていた多くのgleeファンは、
コンサートを体験した人たちはその興奮をもう一度と思い、
体験出来なかった私のような人たちは観ることが出来る喜びでいっぱいで、
劇場に足を運んだのではないかと思うので、その意味ではやや肩すかしというのか、
ファンのエピソードはもうちょっと少なくていいから、
1曲でも多くステージを見せて欲しい、聴かせて欲しいと思ったんじゃないかと思います。


glee3dconcert_2.jpg


各地のコンサートの様子はネットでいろいろと情報が入ってきていたので、
あの曲がなかった、あのシーンがなかったと不満に思う点も少なくなかったです。
それに、もし出来るならもっとステージ裏やリハーサルの様子など、
見せてくれても良かったんじゃないかなと、ミーハーなファンとしてはとても残念に思うのでした。

3Dに関しては、考えてみると完全実写の3D映画を観るのは初めてだったんですが、
キャストがずらっとステージに並んでいるところなどは、
なんだか紙芝居のような不思議な映像で面白くはありましたが、
別に3Dじゃなくてもよかったかなあという印象。
キラキラした照明や紙吹雪が空中に舞う映像は確かに美しく、
エンドロール前のスラッシー(glee部が顔にかけられちゃうジュースですね)の、
カラフルなしぶきを模した映像の鮮やかさは3D映像として成功していると思いましたが、
それだけだったら・・・と。
ステージ上のキャストに大接近したカメラは迫力満点、
歓声が大きくてもうちょっと歌声がちゃんと聞こえて欲しかった気もしましたが、
何にしても彼らの演奏は大満足で、ああやはり、1公演フルに見せて欲しかったです。
お馴染みの『Don't Stop Believin'』や『Empire State Of Mind』
『Somebody to Love』などは本当にゾクッとして、涙も出そうになりました。


glee3dconcert_3.jpg


終わってみて思うのは、ドラマを観ていない人がいきなりこの世界に入るのは、
設定の説明もキャスト紹介があるわけでもないので、
さすがにあまり楽しめないんじゃないかなと思うし、
番組のファンとしてはちょっと物足りなさを感じてしまう。
どっちつかずになってしまった気がします。
少ない上映館での2週間限定公開(何館かは上映延長されましたが)など、
観ることが出来るハードルも高くて、3Dなんかじゃなくていいから、
単純なコンサート映画としていろんなところで上映してくれたら、
ノンクレジットのあのハリウッド女優さんも登場しますよ!と宣伝したりしたら、
興味を持って観ようとする人もいたかも知れないし、
そうしたらこれをとっかかりでドラマに興味を持つ人もいたんじゃないかなあと思ったり。

今はもう、映画に入らなかったアレやコレやや、予告編には登場していたのに、
なんで出てこないの!?のスー先生(ジェーン・リンチ!)のシーンなどが、
もれなく特典映像になってるであろうDVDの発売を楽しみに待ちたいと思います。


Glee: The 3D Concert Movie(2011 アメリカ)
監督 ケビン・タンチャロエン
出演 ディアナ・アグロン リア・ミシェル ダレン・クリス
   ヘザー・モリス クリス・コルファー ハリー・シャム・ジュニア
   コリー・モンティス ナヤ・リヴェラ コード・オーバーストリート
   マーク・サリング ケヴィン・マクヘイル アンバー・ライリー
   ジェナ・アウシュコウィッツ アシュリー・フィンク


glee/グリー ザ・コンサート・ムービー 3枚組3D・2Dブルーレイ&DVD&デジタルコピー〔初回生産限定〕

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD



Glee: the 3d Concert Movie

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 2011/08/12
  • メディア: CD



glee/グリー DVDコレクターズBOX

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD




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ファニー・ガール [映画感想−は]

子どもの頃に観たはずなのですが、ほとんど記憶になく初見に近い状況。
序曲やインターミッションもある150分の超大作!
実はドラマ『glee(グリー)』にすっかりハマっているもので、
だから観なくてはいけない作品だったのです!
その説明は後ほど。


下町のボードビルショーの踊り子ファニー・ブライス(バーブラ・ストライサンド)は、
なぜかいつも失敗ばかり。しかしある日この彼女の失敗が観客に大受けし、
彼女は劇場の看板スターとなります。
そんな彼女の前に現れたのはギャンブラーのニック(オマー・シャリフ)。
二人は惹かれ合いますが、互いに気持ちを表せないまま別れてしまいます。
そんな時、ブロードウェイの大興行師ジーグフェルド(ウォルター・ピジョン)が、
ファニーをスカウト、彼女は一躍トップスターとなりますが・・・。


funnygirl_1.jpg


ドラマ『glee』で、ミュージカルスターを目指す女子高生レイチェルが、
この映画の中の1曲『パレードに雨を降らせないで(Don't Rain On My Parade)』
を歌うエピソードがあります。
この曲の入った『glee』のサントラを繰り返し聴いているので、
これはすっかりお馴染みの曲となっているのですが、
昨年のトニー賞でもレイチェルを演じるリア・ミシェルが、
ステージでこの曲を披露したりということもあって、
私の中ではすっかりレイチェルといえばコレ!という曲になっているのです。
ほかにもレイチェルは別のエピソードで『マイ・マン(My Man)』を歌ったり、
ライバル校グリー部の顧問シェルビー(イディナ・メンゼル)が、
『ファニー・ガール(Funny Girl)』を歌うエピソードがあったりと、
『glee』を楽しむためにこの作品は観ておいてソンはない作品と言えると思います。

オリジナルであるバーブラの歌うシーンはYouTubeで観たりもしていたのですが、
今回観ていて劇中でこの曲が始まるとさすがにぞくっと鳥肌が立ってしまい、
なるほどこういう展開でこの曲が歌われるのかあと感心というか感動に近いものがありました。
この作品は実在したミュージカルスター、ファニー・ブライスの生涯を題材にし、
バーブラのために書かれたブロードウェイ作品で、これはその映画化であり、
彼女の映画初出演作品でもあります。
モデルとなったファニー・ブライスのことはまったく知らないのですが、
この通りの人であったのだとしたらかなり個性的で勝ち気、歌の才能は言うまでもなく、
おそらくバーブラはまさに適役だったんだと思います。
実在の人物をモデルにしていながらも、物語としては確かにドラマチックで波瀾万丈。
・・・ですが、私はどうもお話自体にいまひとつ乗り切れませんでした。


funnygirl_2.jpg


というのも、この主人公ファニーの行動や性格がどうしても好きになれないのです。
まだ新人の立場でありながらステージでいきなり勝手なアドリブを加えてみたりして、
結果的に観客からは喝采を浴び、周囲は彼女を認めざるを得なくなるのですが、
いかにも映画的ありがちな展開ではありますが、何かスッキリしないものを感じてしまいました。
スターになってからも恋人のあとを追ってステージをキャンセルしたりと、
仕事より恋を選んだとかなんとか言えなくもないのですが、
周りからみたらたまったもんじゃないだろうなあとどうしても思ってしまったのでした。
まあステージ上のことは結果オーライだし、恋愛を優先するのもドラマとしてはアリですが、
それがなんかなあと思ってしまうのは、脚本や演出にミュージカル特有のあっけらかんさというか、
基本的な明るさとかいい意味の脳天気さのようなものが少なくて、
長尺のせいもあってかどこかテンポの悪さを感じてしまい、
前半はまあまだあれやこれやで明るくテンポ良く進みはするのですが、
後半になると、物語の暗い展開どおりに深刻になっていくのです。

一番のハマれないポイントは、だいたいあんな胡散臭い男を好きになってしまう時点で・・・と、
それを言ったらオシマイなことかも知れないのですが、どうもここに乗れない点があった気がします。
事実だから仕方ないのかも知れないし、イマイチな男に引っかかってしまったのならそれはそれで、
それでも彼女の芸の肥やしとなりそして彼女たちは舞台へ向かった・・・オシマイ、
でいいはずなのですが、中途半端に深刻な方向に持って行ってしまった感じだし、
ここはジーン・ケリーやダニー・ケイの作品のように、もう少し泣き笑いな感じで終えて欲しかったです。
あるいは、全体を短めにテンポ良くしてドラマチックさを減らしても良かったかも。
それと、ニックを演じているオマー・シャリフがどうも精彩に欠けるというのか、
何かひとつ物足りなさがあって、この人もう少し魅力的な人じゃなかったかなあ、
『ドクトル・ジバゴ』とかもうちょっとステキだった気がするんだけど、
なんてことも思ったりしました。


funnygirl_3.jpg


歌われる曲はバーブラの歌唱力もあってどれも魅力的ではあるのですが、
特別印象的なものがあるかというと微妙な気もしました。
それこそ『glee』のことがなければ曲そのものにはあまり関心を寄せなかったかなと思います。
ただ『パレードに雨を降らせないで』は確かに前半のクライマックスで、
ロケ撮影も交えた映像はなかなか見応えはあります。
こんな風にドカンと見せるシーン、聴かせる曲がもうちょっとあると良かったかな。
こういう超大作ミュージカルは思いっきり夢を見せて、聴かせて欲しいと思うのです。
しかしバーブラの歌は本当に素晴らしいし、演技もルックスも若くてカワイイ。
今回観ていてつくづく思ったのは、彼女は本当にジェニファー・アニストンに似てるなあということ。
いや逆かな?ジェニファー・アニストンのコメディ演技は絶対にバーブラから来ていると確信。
しゃべり方や表情、身体の動きからヘアスタイルまで本当にそっくりで驚きました。


Funny Girl(1968 アメリカ
監督 ウィリアム・ワイラー
出演 バーブラ・ストライサンド オマー・シャリフ アン・フランシス
   ウォルター・ピジョン


ファニー・ガール [DVD]

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ツリー・オブ・ライフ [映画感想−た]

映画は自分で観るまではなるべく人の感想や批評は読まないようにしているのですが、
それでもこの作品に関してはついついあらゆることが目に入ってしまい、
それがどうにも、ちょっとほかにはないような状況だったので、
いったいどんなものなのかと期待と不安でいっぱいでした。
なかなか観に行けなくて、このまま観ないで済ませちゃおうか、
いややはりそこは自分の目で確かめたい!と、ようやく終了間際に駆け込み鑑賞。


1950年代。テキサスの田舎町にオブライエン一家は暮らしていました。
厳格な父(ブラッド・ピット)と優しく美しい母(ジェシカ・チャステイン)、
そして三人の息子たち。
長男のジャック(ハンター・マクラケン)は11歳になり、
何かと口うるさく、時には暴力的にもなる父に反感を抱くようになり、
徐々に反抗的な態度を取るようになり・・・。


thetreeoflife_1.jpg


すでに観た人たちの感想の混乱ぶりやどちらかというとネガティブな反応、
ちょっと驚きの構成などを事前に知っていたので覚悟も出来ていて、
結果「ああ、なるほどね」という感じで、驚きつつも意外なことに楽しめた気がします。
まあ確かにそういう事前情報を一切入れずに観たらこれは相当な驚きと、
戸惑いやら不満でいっぱいになったかも知れません。
本当はそのほうが良かったのか悪かったのか、それも今となってはよくわかりませんが、
覚悟していたからこそ逆に楽しめたというのは「思ってたよりひどくない」という、
一番言ってはいけない感想になってしまいそうでもあるのですが、
とにかく、とりあえずイヤな気持ちにはならなかったことは事実だし、
そうなったことに自分でもまあ満足しています。

確かにいわゆる一般的な映画的手法や文法ということを考えると、
かなり特異な作りであると言えるかも知れません。
一応本筋は1950年代のオブライエン家のあれやこれやで、
淡々とした描かれ方ながらも一応物語として成立しています。
父親は若い頃に音楽家の夢を持っていましたが挫折、
そのため息子たちにはなんとしても成功して欲しいと願い、
その気持ちが息子たちに厳しい態度となり、その結果息子たちから疎まれてしまいます。
この父親が具体的に何の仕事をしているのかはよくわからないのですが、
この時代のこの年代の父親としては特別ではない、よくいるタイプに思えます。
そんな父親に反抗的な態度を取ってしまう長男ジャック。
そのジャックが成長した姿をショーン・ペンが演じていて、
彼は現在建築家か何かになっていておそらく成功しているように見えます。


thetreeoflife_2.jpg


時間軸は行きつ戻りつ、現代になったり50年代に戻ったりします。
一家の描写が断片的なのはおそらく現代のジャックが思い出しているということだと思うのですが、
では現代のジャックはなぜ今この頃のことを思い出し、しかも思い詰めているのか、
そのあたりがどうしてもいまひとつよくわかりませんでした。
ショーン・ペンの瞳はなぜか常に虚ろで、心情描写とはいえ岩だらけの場所に立ったりして、
自分がどこにいるのか、どこへ向かえばいいのかわからないという風。
演じているショーン・ペン自身もわかってないんじゃないかと思うような、
いつもの彼らしい力強さも見えません。

そうこうしていると突然"幻想シーン"パートが始まります。
モヤモヤとした光のきらめきから始まり、それは宇宙の始まりで、
やがて地球が生まれ生物が誕生し・・・と言ってもそうハッキリと説明されるわけではなく、
厳密に宇宙の成り立ちが描かれるわけでもないのですが、
ああそういうことなのかなあといろいろ想像しつつ観ていました
映画の冒頭でヨブ記が引用されることから、全編に宗教的なものが散りばめられているのか、
そのこと自体がテーマなのか、逆にそれに異議を申し立てたいのか、
宗教的なものにまったく疎い自分にとっては、
最初から敷居の高さを感じずにはいられなかったのですが、
この、途中から唐突に始まりかなり長い時間を割いて描かれる幻想映像パートで、
いったいこの映画はどこへ向かうのかといよいよ不安になりつつも、
けれど映像自体は環境ビデオのように美しく、ずっとぼんやり眺めていたいような心地よさでした。


thetreeoflife_3.jpg


しかしそこに恐竜が登場した時にはさすがに、
心の中でオイオイとツッコミそうになるのを抑えられませんでした。
これも噂には聞いていたのでああこれかあと思ったのですが、
恐竜の映像はよく出来ているとは言ってもやはり唐突なCGだし、
それまでのリアルで美しい映像にそんな恐竜を重ねられても違和感しか感じられず、
いっそそこから類人猿が登場し人間へと進化していき、
ついにはオブライエン家の先祖へと繋がり・・・となるのならまだわかる気もするのですが、
そんなこともなく、この幻想パートが終わるとまたスコンと50年代アメリカへ移動してしまいます。
このバランスの悪さは意図されたものなのか、本当はもうちょっと何かあって、
それらを見せてると4時間も5時間もかかってしまうということなのかと思ったり。
さらに、恐竜が出てくるってことはキリスト教的方面は否定しているということかなあとか、
頭の中がクエスチョンマークだらけになってしまいました。

そういうわけで、居心地が悪いと言ったらこれほど落ち着かない気持ちになる作品は、
最近ではちょっと珍しいかも知れず、観た人たちの混乱ぶりも納得でした。
けれど映像の美しさは文句なしだし、50年代パートはいかにもテレンス・マリック風で、
キラキラとした光り、母親の子どもたちへの愛情に満ちあふれた様子や、
父子の確執を描いていても悪意やとげとげしさのようなものはなく、
すべてがぼんやりと美しい思い出の写真のようで、
ハッキリとしたストーリーがあるわけではないのに、
何と言っていいかわからない不思議な説得力のようなものを感じました。


thetreeoflife_4.jpg


作品を魅力的にしていたのは、それぞれのキャストに因るところも大きかったと思います。
こういうお父さん役を演じることにだいぶ違和感がなくなったブラッド・ピット、
ただひたすら優しく美しい母親ジェシカ・チャスティン、
三人の息子たちのうち、反抗期に入った長男ジャックの心揺れ動く感じと、
いずれ亡くなることがわかっている次男R.L.の愛らしさや音楽的才能を見せる様、
無条件に兄を信頼する姿には素直に心打たれてしまいました。
残念だったのはショーン・ペンがいまひとつ彼らしさを出していない気がして、
例えば思いっきりルックスを変えてブラッド・ピット二役でも良かったかなとか、
まあいろんなことを考えたりもしたのですが。

なぜか三男の影が薄かったり、結局次男はなぜ死んだのかもよくわからないし、
やはりもういい大人になってる現代のジャックはどうしてこの頃のことを思い出し、
くよくよしているのかの説明はもうちょっとあっても良かったかなと思います。
そこは父と息子の問題、兄と弟の関係といった普遍的テーマだから、
ということで納得する、そういうことで片付けてしまっていいことなのか、
いくら普遍的だからと言って宇宙の始まりまで遡ることはないんじゃないかなあと思ったり。
あげく最後のほうで現代のジャックは昔の姿の家族に会うのですが、
それもよくわからなくて、一見、いわゆる天国でみんなに会えたみたいな映像なんですが、
ジャックも父親もまだ死んではいないんですよね?あ、これはさらに未来の映像?
・・・とまあ、自分の理解力の無さをただただ披露してしまうみたいで恥ずかしいんですが、
そういう細かいことは本当にどうでもいいのかも知れないし、
そして、そんなこんながわからなくても不思議と腹は立たず、
モヤモヤっとした気持ちではあっても、ああなんというのか、
こういうモヤモヤを描けるところが映画というものなのかなあと思ったりしました。
もう一度、今度はゆったりと美しい映像を楽しみたいなあと、
そういう軽い位置づけの作品として捉えていい・・・んですよね?


The Tree of Life(2011 アメリカ)
監督 テレンス・マリック
出演 ブラッド・ピット ショーン・ペン ジェシカ・チャスティン
   ハンター・マクラケン ララミー・エップラー タイ・シェリダン
   フィオナ・ショウ


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メタルヘッド [映画感想−ま]

ジョセフ・ゴードン=レヴィットのロン毛&へなちょこタトゥー!
スチルのインパクトでそりゃあもう期待でいっぱいでした。
スペンサー・サッサー初監督作。


自動車事故で母親を失った13歳の少年TJ(デヴィン・ブロシュー)と、
その父親で妻の死から立ち直れず落ち込んだ日々を送るポール(レイン・ウィルソン)。
二人の前に、謎の男ヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が突然現れます。
この男は祖母(パイパー・ローリー)と三人暮らしだったTJの家に転がり込み、
あらゆる非常識な振る舞いを見せ、TJたちを困惑させます。
そんなある日、TJはスーパーのレジ係ニコール(ナタリー・ポートマン)と出会い・・・。


hesher_1.jpg


傷ついた父と息子の前に突如現れたメタル野郎ヘッシャー。
最初にヘッシャーがジャジャン!と登場するところや、
とりあえず破壊、放火、爆破というやりたい放題の乱暴ぶり、
TJがいじめに遭って、ここは助けてやってよという場面であっさりと裏切ってみたりとか、
前半のヘッシャーのまったく行動の読めないところはJGLびいきも手伝って面白いんですが、
これがあまり長続きしないで徐々にもたつき始め、
あちこちで面白くなりそうなのにあら?っとなり、
全体に、どこかツメの甘さのようなものを感じてしまいました。

結局ヘッシャーとはいったい何者なのか?キリストのような風貌にも見えて、
単純に救世主的な印象を与えもするのですが、最後までその正体はナゾのまま。
そのことをハッキリさせる気はそもそも無いのかもしれませんが、
これが逆に全体を曖昧にしているような気がしてならず、
いっそのこと救世主でも天使でも妖精でも心の中にいる誰かでもなんでもいいから、
つまりは何かの象徴としての存在であると匂わせるぐらいにでもしてくれたほうが、
話としてはスッキリするような気がしました。
私はヘッシャーがそういう”何か”であって欲しいという願望と期待とともに、
(それは物語の展開上のヒネリとしての期待という意味も含めて)観ていたので、
彼が終盤でニコールと"そういうこと"になってしまうところで心底ガッカリしてしまったのでした。
それはつまり、なんだ、普通にヤッちゃう奴なんじゃん!という、
ヘッシャーが特別な、聖人でもなんでもないということがハッキリした瞬間だったからです。


hesher_2.jpg


それから、このニコールという人の位置づけもちょっと曖昧な気がして、
何よりナタリー・ポートマンなんかが演じているものだから、
どうしても何かもっと重要な役なんじゃないかと考えてしまうのかも知れないのですが、
実際はTJがほんのちょっと想いを寄せる年上の女性ぐらいの役割でしかなく、
もし、彼女の存在に意味があるのなら、意味を持たせたかったのであれば単純に描き足りないし、
そうでないのなら、ナタリー・ポートマンではない役者に演じて欲しかったです。
そうでなければこのニコールの存在をもうちょっと深く、
父子と同列ぐらい丁寧に描いてくれても良かったと思います。
ニコールの悩みや痛みもそれなりに描かれてはいましたが、
ヘッシャーとの関わり合いはTJより少ないし、何より常にTJを挟んでの関係だったので、
だからヘッシャーとそうなってしまうのがあまりに唐突に思えてしまったのだと思います。
もちろんそうすることでTJに打撃を与えるわけだし、
ニコールにとってはそうなることが助けになったのだと解釈することも出来ますが。
まあ逆に考えれば、それほどの位置の役ではないからそうなってしまったとも言えるのかも知れない。
言動や服装など、十分にホワイトトラッシュな風味を出していて、
そこが素のナタリー・ポートマンとのギャップから来る面白味さもあるのですが、
それはキタナイJGLと同様、一見面白いんだけど成功しているかというと・・・という、
やはり、惜しいなあという結論になってしまいます。

それともう一点どうしても気になったのは、TJが父親が手放した車に固執するところ。
母親が死んだきっかけとなったことはわかるし、終盤で丁寧にそのシーンが描かれるわけですが、
母親を思い手放したくないものというのであれば、例えば服とかアクセサリーとか食器とか椅子とか、
もっと身近で母親の匂いが染みついたようなもののほうが自然な気がします。
親子三人の最後の楽しかった思い出というのはわかりますが、
母親がとても愛した車であるとか、事故の原因に何かあるのかとも思ったのですが、
特にそういうことでもないようで、私だったら逆にこの車は母親を奪ったものという、
むしろ憎い存在に思えるんじゃないかなと思うのですが。
ただこの車に関してはあらゆる話につながっていくものなので、
結局、車という仕掛けが欲しかっただけなのかなと思いました。


hesher_3.jpg


そういうわけで、ものすごく面白くなりそうなものをいっぱい持っていそうで、
そのどれもこれもが消化不良で終わった感じでした。
ヘッシャーという男は、見た目は十分にインパクトがありますが、
結局は特別な何かでもなんでもなく、単なるチンピラ浮浪者の域を出ていなくて、
けれど、そんななんでもない男であってもどん底にいた父と息子の前に現れたことで、
結果的にそのどん底な状況から救い出すきっかけになった。
そういう風に人は何かちょっとしたことで救われるもの、ということを言いたかったのかも知れません。
ただ、そういう言ってみればありふれた着地点になってしまったことには、
やはり何かしら物足りなさを感じてしまうし、オチとしてそこに行ってもいいから、
そこまでの道筋でもうちょっとこちらを驚かす仕掛けが欲しかったです。
見た目がアレな人がお年寄りには優しい、というのもまあありがちな描き方だし、
それもかまわないのですが・・・何よりヘッシャーとおばあちゃんのやりとりは、
涙が出そうなくらい楽しかったのですが、そのことが引き起こす結末と、
そこで見せるヘッシャーの素の顔にはちょっと残念な意外性でしかなくて、
えらく真っ当な話(と言ってもほぼ下ネタなのは笑えますが)で締めてくれるのは、
再生物語としては予想の範囲内で残念でした。

それでもTJを演じたデヴィン・ブロシュー君は素晴らしかった。
どうにもならない現実の重みを抱えた暗い表情は最初から最後まで物語を引っ張っていました。
ただただ落ち込んでいるお父さん役レイン・ウィルソンは、
もうひとつ見せ場が欲しいところでしたが、こういう役なんで仕方ないですね。
それとおばあちゃん!エンドロールで「パイパー・ローリー」という名前を観た時は、
思わず声を上げそうになりました。まったく気が付かなかった!
このことが一番この作品で驚かされたところだったかも知れません。


Hesher(2010 アメリカ
監督 スペンサー・サッサー
出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット レイン・ウィルソン デヴィン・ブロシュー
   ナタリー・ポートマン パイパー・ローリー ジョン・キャロル・リンチ



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デビル [映画感想−た]

『レディ・イン・ザ・ウォーター』『ハプニング』で落胆してしまい、
『エアベンダー』はなんか違うかも・・・とスルーしてしまったけど、
やはりM・ナイト・シャマランと聞くと「ん!?」と反応してしまうわけです。
シャマラン原案の今作、ほとんどそれぐらいしか予備知識ナシで観てしまいましたがこれはっ!


ロザリオを握りしめた男が高層ビルから墜落死する事件が発生し、
フィラデルフィア市警殺人課のボーデン(クリス・メッシーナ)は、
現場の状況に不審なものを感じながらもそれを自殺と判断します。
ちょうどその頃、その同じビルのエレベーターの一基が突然停止し、
5人の男女が中に閉じ込められてしまいます。
警備員のラスティグ(マット・クレイヴン)とラミレス(ジェイコブ・バルガス)は、
モニター越しに中の様子を見守り救出の手だてを考えますが、
そんな彼らの見ている前で、突然エレベーター内の照明が消え、
復旧してみると、中の女性の背中が切り裂かれ血を流していました。
誰に襲われたのか、5人は疑いの目を互いに向け合い始めますが、
再び照明が消えると、今度は一人の男が無残な死を遂げ・・・。


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今作はM・ナイト・シャマランの原案を若手の映画作家が映画化していくプロジェクト、
「ザ・ナイト・クロニクルズ」の第一弾ということで、
(なんでもシャマランはもう監督業より製作にまわりたいとか言ってるらしい)
あくまでも今回は"原案"のみで脚本も書いていないと知り、実は驚いてしまいました。
というのも、これは紛れもなくシャマラン作品そのものと言っていいものになっていたからです。
エレベーターに閉じ込められた見ず知らずの男女5人・・・と聞くと、
最初はいわゆる密室劇のようなものを想像したのですが、
やがて、とてもそんな密室の中で起こりえないようなことが次々起こり、
この作品が普通のミステリーやサスペンスなんかではなくて、
ホラー、というかオカルトものだということがすぐにわかってきて、
この独特なニオイがなんともシャマランシャマランしているのです。

エレベーターの中をセキュリティカメラのモニター越しに見つめる警備員の一人、
中南米系で敬虔なクリスチャンのラミレスがあっさりと、
これが単なるエレベーター故障などではなく"悪魔"の仕業だと騒ぎ出します。
もちろんそんな彼の言葉に誰も取り合わず、それでも異常事態は次々と続き、
閉じ込められた5人だけじゃなく彼らを助けようと試みる人びとにまで危害が及びます。
なぜそんなことが?と最後まで理由は謎のまま話は進む・・・のですが、
このラミレスが最初から悪魔のせいだと言って、なぜこんなことになったのかを、
劇中でも、またナレーションでもいろいろと説明してくれます。
観ているこちらはそうなのか、いや、そんなこと言って実は何かしら論理的な答えがあるのでは?
などと頭の中を「?」マークでいっぱいにしながら見続けることになります。


devil_2.jpg


次第に5人にはそれぞれアヤシイ過去や後ろめたい事情があることがわかってきて、
だからこんなことになったのか、彼らはここに偶然か必然かで集められたのか、
でもだったらどうして?どうやって?と、謎は最後まで簡単に解き明かされず話は進みます。
そこに、最初の墜落死の件でやって来た刑事も加わり、そしてこの刑事にも暗い過去があり、
そんなあれもこれもが絡み合って最後にえええ!?という結論に達するわけですが、
そんな「えええ!?」という終わり方でありながら、
その時点では「なるほど〜」と、ちゃんと納得してしまうのです。
なぜかというと要所要所にラミレスのナレーションによる説明が差し込まれるので、
私のように頭の回転が鈍かったり神だ悪魔だなんてことに疎い人にも、
よくわかるようになっているのです!
おかげですべてが終わった瞬間は一応納得して劇場を後に出来るのですが、
さて、では家に帰ってからこのストーリーについて説明してみろと言われると、
「ええっと?」と、どうにもうまく説明出来ないのです。
そう、このうまく説明出来ない感じこそ、まさにシャマラン!
こういったまるっきりキツネにつままれたような感覚が、
『アンブレイカブル』や『サイン』を思い出させてくれて、
あーこの感じ、自分はこれがスキなんだなーとしみじみ思ったのでした。

今回、ストーリーや構成が実にシャマラン的でありながらうまくまとまっていたのは、
もしかしたらシャマラン自身が監督しなかったからなのでしょうか。
うまい具合に彼の世界観を他者が脚色、演出することで別の作用が働くのかも知れないな、
なんてことをぼんやり考えてしまいました。
こんな強引な話の見せ方や持って行き方が過剰だったり、逆にあっさりと"謎解き"されたりすると、
あの『レディ・イン・ザ・ウォーター』のガッカリになってしまうのかなと。
シャマランらしさというのは意外と微妙なバランスの上に成り立っているのかなと思いました。


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それと、今作ではあまり有名なスター俳優を使っていないのも良かったと思います。
エレベーターの中にサミュエル・L・ジャクソンがいたり刑事がブルース・ウィリスだったりしたら、
もうそれだけで話が読めてしまいそうだし、最後まで"犯人は誰?"と思わせるには、
これぐらい等しくよくわからない人たちだけなのが正解だと思いました。
一番怪しそうな人がそのまま怪しいのか、最後まで生き残る人が当然一番怪しい人なのか、
それが最後まで本当に読めなくて、そして事件は最後に意外な方向に進み、
さて、この終わり方でいいのか、ここまでを踏まえてこの結論でいいものかどうかと、
時間が経ってみるとあれこれ考えてしまうのですが、
見終わった瞬間はそりゃあこれは悪魔の仕業なのだし・・・と思ったり。

さらに、一番やりそうだったけどやらなくて良かったなあと思ったのは、
ラミレスの役をシャマラン本人が演じるという『レディ・イン・ザ・ウォーター』的展開。
これまで彼は必ず自分の作品のどこかしらに登場するというヒッチコックみたいな人でしたが、
今回は監督作じゃないからなのか登場はナシ。
でも、このラミレスというキャラクターはどうみてもシャマランだよなあと思いました。
そういったスター俳優の不在と80分というランタイムが、劇場用作品というより、
ちょっとした小品・・・そう、これって『トワイライトゾーン』の一編みたいな感じで、
オープニングとエンディングにシャマランが出てきて解説しても良かったかも!?(いやいやいや)
まあ、だからどうした?という話と言ってもいいし、
神だ悪魔だみたいな話が気にくわない人も多いかも知れない。
とっくにシャマランに嫌気が差している人にもつらいかも知れません。
でも私は断然支持!このシャマランプロジェクト、ちょっと次が楽しみになってしまいました!



Devil(2010 アメリカ
監督 ジョン・エリック・ドゥードル
出演 クリス・メッシーナ ローガン・マーシャル=グリーン ジェニー・オハラ
   ボヤナ・ノヴァコヴィッチ ボキーム・ウッドバイン ジェフリー・エアンド
   ジェイコブ・バルガス マット・クレイヴン



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